2012年7月8日
今年も夏休み前の7月8日(日)に「第4回wiggle東京ヒルクライムOKUTAMAステージ」を開催しました。天候はイマイチで、 前日からの本格的な雨は上がってはいたものの、鈍よりした天気でした。
幸い、スタート地点は雨もなく、霧もなく、気温も17度とレースには悪くはないコンディションでした。
しかし、5km程先は霧が立ち込め、 幻想的な雰囲気を醸し出していました。そして、ゴール地点である風張峠(標高1146m)は濃霧と霧雨状態でした。
なぜ、梅雨の完全に終わっていない7月上旬に開催しているのかと云うと、この地域の活性化に少しでも貢献できれば、と考えてのことです。
それに梅雨時季と云っても毎日雨が降っている訳ではありません。
夏休みに入ると観光客がたくさん訪れだろう。だから、その直前の閑散期に、と考えた次第です。
何と言っても、この辺りには手つかずの自然が たくさん残っている大都会東京のリゾート地だからです。いかに東京と言えども、山の多い西部地域一体は、サルやシカ、 それにクマも生息する自然豊かな場所です。
しかし、最近の現実は大きく違っていることに気がつきました。
夏休みに入っても一昔前ほど大勢の観光客はやって来ていないようです。確かに休日でも道路は空いています。
バブルが弾け、その余韻が残っていた1990年代前半までは観光バスを連ねてたくさんの観光客が訪ねて来ていました。また、 ドライブを楽しむ車もたくさんやって来ていました。
しかし、昨今の世相を反映してか、人の流れは大きく変わり、お台場やディズニーランドやスカイツリー等々、人の流れは都心の東方へ向かっています。 また、 若者の車離れを反映してか、ドライブにやってくる車も激減状態にあります。
こう云う状況を鑑み、さらに、雨天の大会運営が厳しいという理由で、来年から梅雨の完全に明けた7月の第4週日曜(28日)に開催することにしました。
これで天気の心配がぐっと減ることになります。参加者の皆さんも、我々運営サイドも、気持ち的に楽になります。
7月下旬は、上旬より暑くなりますけど、標高の高い奥多摩の夏は湿度が低く、清々しく、気持ちの良い時季です。
参加者の皆さんに奥多摩のベストシーズンを体験してもらうことも、再訪を期待でき、地域の活性化に繋がると考えられます。
また、今年の表彰式会場でスタート時間をもう少し遅らせて欲しいという意見が多数出ました。
我々も、幾ら夏とは言え、ラジオ体操の時間帯である早朝6時は相当に早いことを重々承知しています。運営する側の我々も大変ですから。
会場の近くの宿に泊まっている選手の皆さんも4時頃には起きなければなりません。運営する我々は3時頃に起き、 周囲が白む4時頃にはコースの設営にかからなければなりません。
そして、当日の朝に受付ができない理由もここにあります。
しかし、日本一経済活動の活発な東京では、比較的スローな地方都市と違って、交通規制(通行止め)の実施には非常に難しいものがあります。
東京では、地方都市のように経済活動を阻害する交通規制を実施してまでも、官民挙げて観光資源となるスポーツイベントを作るということはありません。
但し、石原都知事の強いリーダーシップで2007年に立ち上げたスーパーイベント「東京マラソン」は除く、ですが・・・。 しかし、これは単にスポーツエベントというよりも、時代の潮流を変えてしまった出来事といっても過言ではありません。
そんなスタンス故、午前8時の奥多摩周遊道路ゲート開放時間までには、競技を滞りなく終わらせ、コース(奥多摩周遊道路)をクリアにして おかなければなりません。 これが2009年のOKUTAMAステージ立ち上げに当たっての青梅警察署との約束事だからです。
世の中、一寸先は闇(明)ですから、この先どのような展開(もしかして8時スタート可能)になるかわかりません。しかし、今のところ、 この約束は守らねばならない、と考えています。
参加者の皆さんが少しでも便利になるよう来年は前日の受付場所を従来の奥多摩町から少しでも都心に近い青梅に移そうと考えています。
もちろん、これがスタート時間を遅らせる代替え策になるとは思っていません。
また、これによって奥多摩町や小菅村に宿泊する人の数が減るとは考えていません。遠方からの参加者は、青梅で受付した後に、 スタート会場近くの宿へ移動するからです。
駐車場も小菅の湯近くの広いグランドに集中させるのは止め、スタート会場の近くの小菅村東部森林公園キャンプ場を用意することにします。また、 土地勘のある人は奥多摩湖周辺の公共駐車場を利用することもできます。
OKUTAMAステージを開催する以前は、なぜか、東京都には公道(都道・国道)を使い、誰もが参加できる自転車レースは1本もありませんでした。 全国どこにでもあるのに、です。
マラソン大会は至る所で開催されていますが、自転車レースは、スピード&落車というマスコミが取り上げるイメージから市民スポーツには危険過ぎる と考えられていたのでしょう。
それまでは行政も警察も自転車レースの経験が皆無だったので、そう考えるのは仕方のないところです。
そんな状況下、渋る役所に対して、前例のないことを始めるというのは非常に苦労のいることです。「長いものには巻かれろ」という諺が示すように、 普通なら諦めてしまうところです。
しかし、ある強い思いがあったので、長期に亘り、あの手この手で交渉を重ね、ようやく全ての関係各所から同意を得ることができ、現在に至った次第です。
今では、青梅警察署を始め、五日市警察署、道路の管理者である東京都建設局西多摩建設事務所、奥多摩町、小菅村、都立山のふるさと村、 それに奥多摩消防署等々の多大なご協力の下に開催されています。
これらの「縁の下の力持ち」なくして、OKUTAMAステージは開催できません。
サッカーや野球のように限られた競技場を使うスポーツと違って、広範囲の自然の中で行われる自転車レースやマラソンは 多くの人や行政の協力が必要不可欠なスポーツです。
東京で初めてとなる自転車レース、OKUTAMAステージが成功したことで、それまで林道レースであったNARIKIステージもようやく念願の公道(都道)を 使うことが許されるようになりました。
もちろん、これにも地元成木の人達と共に2〜3年の長い交渉期間(青梅警察との)を経てのことです。一朝一夕にできたものではありません。
続いて、OKTAMAステージ開催の3年後、2011年10月、檜原村に新しくHINOHARAステージが誕生しました。 キッカケは、東京国体の自転車競技を3年後に控えた檜原村役場の職員がOKUTAMAステージを見学されたことにあります。
稀有な巡り合わせで、来年、東京国体“スポーツ祭東京2012”の自転車競技のコースにOKUTAMAステージとHINOHARAステージの両コースが使われます。
今思えば、前もってヒルクライムをやっていたので、他の市町村に比べて、この地域の住民や各関係機関が自転車競技というものを比較的受入れやすくなり、 国体競技がスムーズに行くのでは、と感じています。
そんな関係の下、昨年から檜原村が開催する東京国体自転車競技を実行委員会の一員として手伝わさせて頂いています。
これまで東京には「ツール・ド・ジャパン」のような特別な自転車競技はありましたが、誰もが手軽に参加でき、楽しめる自転車競技はありませんでした。
しかし、今、東京に3本のヒルクライム大会+日の出町ヒルクライムミーティングができたことで、 マラソンと同じく、自転車にも 市民権が与えられるキッカケになるかも知れません。
行く行くは、自転車先進国ヨーロッパのように、我々市民にとって、エコで健康に良い自転車がもっともっともっと身近な移動手段になるかも知れません。 ぜひ、そうなって欲しいものです。
クラブ通信(2012/07/11)でも少し触れていますが、KFCのサイクルイベントである「東京ヒルクライムシリーズ」と「サイクルステーションネットワーク」に対して スポンサーを申し出てくれた"wiggle" (自転車関連グッズをグローバルにネット販売している英国企業)との経緯の詳細は別の機会お知らせします。
現在(2012年7月)、wiggle(英国)から提供されたバイクボトルやツールボックスが東京税関に留め置かれており、 これらを引き取るための努力をしているところです。
理由は、バイクボトルは輸入に関し、厚生労働省の食品検査の対象になるというものです。たかがバイクボトルにそこまでやるの、 というくらい厳しい検査で、そのコストも馬鹿になりません。 食品のように、直接、これを食べる人はいないので、 もう少し簡略化して欲しいものです。
そして、何とか、8月26日開催のNARIKIステージまでには引き取りたいものです。
以上のような事情があり、申し訳ないですが、来年のスタート時間変更は難しいものがあります。
しかし、坂好きの自転車乗りの皆さん、来年7月28日(日)には爽やかなロケーションの奥多摩周遊道路でお会いしましょう。
東京都、奥多摩町、青梅警察署、東京都建設局西多摩建設事務所、五日市警察署、奥多摩消防署、都立山のふるさと村、レストラン「やませみ」、 小菅村東部森林公園キャンプ場「ほうれん坊」、Wachiレーシングチーム、バイク&スポーツ「エナジー」、wiggle
写真提供:小野口健太、池田将、舘岡正俊、西田光男、斎藤文子