わが町青梅
御岳山
武蔵御岳神社の本堂 御岳山(標高929m)は秩父多摩甲斐国立公園にあり、青梅市で最も大きな観光地です。 場所は青梅市の西の端に位置し、奥多摩町やあきる野市と隣接しています。

ここには武蔵御嶽神社があります。関東一の霊山として崇敬される山岳信仰のシンボルです。 その昔、天平8年(736年)、僧がこの地にお堂を建て、蔵王権現を祀ったことに由来する由緒ある神社です。 江戸時代には農耕の神様として広く信仰を集め、御岳山山腹に数多くある宿坊は連日満員だったと記録されています。

因みに、現在宿坊は25軒前後、その他、みやげ産物屋を兼ねた御食事処が10軒ほどあります。 宿坊と言っても、御嶽神社への参拝に人だけでなく、一般の多くの観光客やハイカーにも開放され、旅館や民宿と何ら変わりはありません。

おみやげ屋兼お食事処街 我々は旅行やトライアスロン大会への参加等々で日本各地の旅館や民宿に泊まった経験があります。 しかし、御岳山の宿坊はそれらとは一味違います。滞在している間、とても居心地がいいのです。

それはこの御岳という山に暮す人たちが心優しい人たちで「気持ち」のある人たちが多いからだろうと常々感じています。 御岳を訪れた人に対してとても思いやりがあるのです。それを我々は「御岳ホスピタリティ」と呼んでいます。

我々と関係の深い北マリアナ諸島のロタ島やテニアン島の島民たちの「アイランド・ホスピタリティ」と共通する部分が多いと感じています。 御岳山の宿坊街は、ある意味、下界とは切り離された「島」なのです。

急勾配を登るケーブルカー 御岳に暮す人たちは御岳山の山頂付近に家を建てて住んでいます。 そして、御岳登山鉄道のケーブルカーと軽自動車がやっと通れる程度の道幅の細い道一本で下界の世界と繋がっています。 そして、この道が武蔵御嶽神社への表参道です。

ケーブルカーは夕方6時くらいが最終便です。道に関しては、2004年頃まではカーブがきつく、九十九折になっており、 道幅が狭いので、スイッチバック方式で上り下りをしていました。スイッチバックってご存知ですか? カーブがキツクて曲がりきれないために、先進とバックを繰り返しながら上り下りをするのです。 運転の下手くそな人は、即、崖に転落です。過去、何人かは落ちたと聞きました。 我々も何度か同乗させてもらいましたが、スリル満点でした。

今でこそ、道路が改良され、スイッチバックはなくなりましたが、それでも2〜3箇所は切り返しをしなくては回りきれません。 坂の勾配も生活道路というよりも登山道に匹敵するほどのキツサです。 距離は約3kmですが、通常、徒歩だと1時間弱もかかってしまいます。 しかも、脚がパンパンになってしまいます。
身体を鍛えていない人はケーブルカーに乗ることをオススメします。 このケーブルカーは、高低差424m、平均勾配22度という斜面を僅か約6分間で、滝本駅から424m上にある御岳駅に運んでくれます。

御岳山の山肌に建つ宿坊街 こんな事情で、御岳の宿坊街は、物理的には下界とは切り離された「島」なのです。 だから尚更、訪れてくれた人たちを大切に扱うのだと思います。

御岳の人たちはこんな「御岳ホスピタリティ」を意識してやっているとは思えません。 昔からそういうスピリットが代々受け継がれて、今ではそういうDNAになってしまっているのだろうと感じています。 常に「アイランド・ホスピタリティ」に接している我々だからこそ、その辺の微妙な部分を感じ取ることができるのかも知れません。

御岳の人々のネットワークには素晴らしいものがあると常々感じています。 例えば、御岳の宿坊街のどこかで落し物をしたり、忘れ物をしたり等々、何か困ったことがあると宿坊の人に話せば、 電話一本で「御岳ネットワーク」を駆使して、すぐに解決してくれます。また、治安に関してもとても安心な所です。

怪物のような神代ケヤキ 宿坊の建物は古いですが、どこも手入れがよく行き届いており、とても清潔で、気持ちがいいです。風呂も宿坊ごとに趣向が凝らされており、 大きなヒノキの桶風呂だったり、マッサージ効果のあるジャグジー風呂だったり、薬草風呂だったり・・・です。 また、こんな不便な山の上にありながら、トイレはほとんどが水洗式のもので、掃除が行き届いて清潔感いっぱいです。

食事に関しては、これが宿坊の料理か、というぐらいご馳走がでてきます。そこいらにある温泉街の旅館に負けていません。 山で採れる四季折々の新鮮野菜、それに、肉や魚等などの料理です。ほとんどの宿坊が山の斜面に小さな畑を持っており、 そこで自分ち用の野菜を栽培しています。

どことも和食が基本で8〜10品ほどの料理が出てきます。汁物、煮物、天ぷら、刺身、一人用の鍋物等々です。 これで一人一泊8千円から1万円くらいです。リーズナブルな料金設定です。機会があれば、宿泊して御岳山を楽しまれることをオススメします。 居心地の良さに、きっと御岳山のファンになりますよ。 (別に、御岳山観光協会から何か貰っている分けではありません。我々の感じたままを紹介しているだけです。)

宿泊者の特権ですが、夜ともなれば、下界に広がる夜景は見事です。 多摩全域から新宿副都心の高層ビル群まで発光ダイオードの光ようにハッキリと見えます。まさに100万ドル?の夜景です。

駒鳥売店食堂の窓際に飛んで来た野鳥。背景は神代ケヤキの木肌。 御岳山の見どころはたくさんあります。岩と滝が織りなす渓谷美が楽しめるには、 「ロックガーデン(岩石園)」、 落差50mの大小7段の滝からなる「七代の滝」、ロックガーデン上流にある落差10mの「綾広の滝」などです。

山歩きに関しては、「奥の院(標高1077m)」と「鍋割山(1084m)」と「大岳山(標高1267m)」、 そして、見晴らしがよい山は「日の出山(標高902m)」と「高岩山(標高920m)」などです。 これらの山々は御岳山から往復2時間〜4時間程度の距離にあります。

圧巻なのは、宿坊街にある樹齢600年といわれる神代ケヤキです。 ケーブルカー御岳駅から歩いて行くと、おみやげ屋兼食堂街手前の急坂の斜面にあります。時間にして約15分です。

この樹は国の天然記念物に指定されており、幹は太く、8mちょっとあります。 その太い幹にはしめ縄が巻いてあり、怪物のようで迫力があります。 そして、この樹にはムササビが住んでいたり、野鳥たちがたくさん集まって来たりします。

駒鳥売店の奥にある食堂部分は神代ケヤキに隣接しており、ガラス窓越に神代ケヤキを間近に観察したり、 そこに集まってくる野鳥などを観察するにはベストポジションです。窓際には野鳥やムササビ用にヒマワリの種が置いてあって、 至近距離で観察できます。

また、春にはカタクリ、夏にはレンゲショウマ、秋には紅葉、冬にはロウバイが楽しめて、 アウトドア派には一年中飽きることはありません。

毎年、12月第2日曜日には「みたけ山山岳マラソン」大会が 開催されています。皆さん、御岳山の素晴らしい自然と「御岳ホスピタリティ」に触れに来て下さい。

【アクセス】JR青梅線「御岳駅」からバス10分で「ケーブルカー滝本駅」に、そこから山頂「ケーブルカー御岳駅」へ6分です。
【電話】御岳山総合観光案内所 0428−78−8121