イベント報告
第7回wiggle東京ヒルクライムNARIKIステージ
7th wiggle TOKYO HILLCLIB NARIKI Stage
2013年9月22日
■KFC徒然

9月22日、初秋の爽やかな青空の下、地元青梅市の成木地区で「第7回wiggle東京ヒルクライムNARIKIステージ」を開催しました。

大会前日から確実に晴れと分かっている場合の大会運営は、前日の準備段階から非常に気が楽です。そして、本NARIKIステージの 決戦の場となる常盤林道の路面状況も過去最高のコンディションでした。

この林道は成木川の渓流に沿って造られているため、年間を通して掃除を続けているにもかかわらずその湿気で路面に苔が生えやすく、常に 我々の頭痛の種となっています。

しかし、9月に開催することで、初秋の乾燥した爽やかな空気で苔がほとんど消滅しました。 路面状態に関しては、全然 問題なしです。

さらに、大会数日前に地元成木7丁目の有志の皆さんが、その前週末に襲来した台風18号で常盤林道に散乱した木の枝や土砂を 全て綺麗に掃除して下さいました。

【カラフルな受付会場】

大会当日、朝7時頃から受付会場である成木市民センターへ選手の皆さんが受付に集まり始めました。

カラフルなバイクジャージに カッコいい自転車で受付会場付近の雰囲気は一変し、自転車レースモードへスイッチオンです。受付を終えた選手の皆さんはウェアに ゼッケンを付け、フロントホークにセンサータグを取り付け、準備万端、成木街道でアップをされていました。

09:40の集合時間になると、その直前まで誰もいなかった道路上に、どこからともなく選手が集り始め、あっという間にそれぞれの スタート位置に整列されていました。自転車レースならではの見事な光景です。

10:00から2分ごとに、第1ウェーブの100名から順番にスタートして行きます。このコースは前半の成木街道部分の約5qは ゆるい勾配の上りが続きます。その後、後半の常盤林道部分に入ると徐々に勾配がきつくなっていくと云うコース設定です。

【勝負所、常盤林道】

前半に頑張って心拍数を上げてしまうと、後半の常盤林道で苦しくなります。

毎年、常盤林道へ入ってから本格的な勝負が始まります。 それまで集団の中にいた実力者たちが常盤林道に入った途端、前方へ出て、ガンガン踏んでいきます。そして、それまでの集団は 一気に縦長になっていきます。

7q地点から9q地点の2q区間が最も勾配がキツい坂です。以前、試走に来ていたイタリア人から「グランツールでも、 これほど(2q区間)きつい部分はないよ。」と話していました。

グランツールとはヨーロッパで開催される自転車のプロロードレースのうちジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、 ブエルタ・ア・エスパーニャ(スペイン)の3つのステージレースのことです。

黒山山頂下のゴール広場では地元の人たちが成木の美味しい水とグレープフルールを用意して、頑張って上って来られた選手の皆さんを 迎えます。

今年、トップでゴールされたのは後藤晃治選手(神奈川)、タイム0:25:14でした。女子は松丸浩巳選手(茨城)、タイム0:29:37でした。 その後、11時過ぎに最終選手がゴール終えた後、皆でゆっくり表彰式会場へ下山します。

【表彰式とシリーズ王者】

表彰式会場は約5q下った所にある中島製材所工場跡です。ここには地元の人たちが用意して下さったトン汁を食べて、 一休みです。

そうこうしている内に上位入賞者の賞状がゴール地点から届けられます。そして、1時過ぎから表彰式を始めました。本大会は 東京ヒルクライムシリーズ全4戦の最終戦ということで、表彰式の最後に2013年度のシリーズ王者にチャンピョンジャージが 贈呈されました。尚、今年の王者は後藤晃治選手と佐藤幸選手(東京)でした。

このジャージは世界選手権のチャンピョンジャージを模して、白地に、年間4ステージあると云うことで、4色のラインがデザイン されています。デザイナーはバイクジャージのデザインに関して定評のある高橋祥哲さんです。因みに、今年作ったKFCクラブジャージも 高橋さんのデザインです。

【我々の誇りだ!】

大会直後、関係者の反省会で地元成木7丁目の自治会長さんが「このようなイベントが成木で開催できるのは、我々の誇りだ。」と スピーチされたのを聞いて、本大会を立ち上げて良かったと思いました。

今年、7回目を迎えて、地元のイベントにしっかり定着した と改めて実感しました。

思えば、7年前、第1回大会の立ち上げに向けて常盤林道の掃除をしていた時、KFC組の強豪トライアスリート松丸真幸選手が走りに 来て、 「大西さん、こんな汚い林道でヒルクライムをやるのですか!」と言ったのを思い出します。

確かに、その当時は誰が見ても汚かった。路面には長い間に積もった落ち葉や枝が腐り、それが5p〜10pも堆積している個所もあり、 ヌルヌル状態。そこに車が通ったと跡の轍(わだち)がくっきり。さらに、至る所に苔が青々と生えていました。自転車乗りの一人として、 松丸の言うのがまともで正しい。

普通の人ならこんな林道でタイヤの細いロードバイクを走らせようとは決して考えないでしょう。しかし、堆積物の下にある アスファルト舗装はしっかりとしていました。だから、堆積物と苔さえ取り除けば、何とかなると 感じていました。

【コツコツ、持久戦】

そして、我々KFCメンバーで、週末ごとに、スコップと箒とカマで、1年がかりで、長さ3qに亘って、コツコツと堆積物を 取り除きました。 おそらくトラック?台分ほど。相当の忍耐を要する辛い作業でした。

過去、国内外で幾度となく大会を立ち上げて きましたが、これほど肉体的に疲労困憊した作業はありませんでした。

しかし、我々の誰一人として、止めようとか、もう諦めようと言い出すものはなく、 皆、攻撃的に常盤林道と対峙しました。

その内、地元界隈で常盤林道が綺麗になっているという噂が広がり、それに驚いた地元の人たちがその真相を知ろうと役所に 問い合わせた と云う話を耳にしたこともあります。そんな努力の甲斐あって、常盤林道は1年で激変しました。

【肝は常盤林道】

肝心の常盤林道が以前のように汚れてしまうと、NARIKIステージの継続は不可能です。そのため、その後も、毎年、コツコツと 掃除を続けた結果、最近では、普段でもそこそこ綺麗な状態を保っています。

今では、初めて訪れる人に 「こんなきれいな林道は見たことがない。」と言わしめるほどです。このような経緯があって、 地元の人に受け入れてもらえたのだと思っています。

その延長線上で、2011年には常盤林道の上り口に「成木の家」と云う 誰もが利用できる無料のサイクルステーションもできました。

【さて、将来は】

そして今では、KFCのイベントと云うよりも、地元成木地区の一大イベントとして、確実に定着しつつあると感じています。

常盤林道の掃除に明け暮れた7年前は、このような形でNARIKIステージが地元成木の皆さんに受け入れられるとは考えていませんでした。 我々としては、嬉しい限りです。そして、今後、どのように変貌し、成長していくのかも、非常に楽しみです。

それでは、ヒルクライマーの皆さん、来年も、爽やかな初秋の頃はNARIKIステージでお会いしましょう。

【レポート・フォト】
【Special Thanks】

青梅市、青梅市成木第7支会、里仁会、青梅警察署、東京都西多摩建設事務所、青梅消防署、東京都森林組合青梅事務所、東京都森林事務所、 飯能市名栗自治会、飯能市下名栗小沢自治会、椛ス摩組、椛コ尾組、成木開発梶A渇恆ス摩工業、 トライスポーツ、明治乳業(VAAM)、 WACHIレーシングチーム、 鼓代神、wiggle

写真提供:小野口健太、池田将、舘岡正俊