2014年9月14日
本大会が行われている小菅村は、行政的には東京都ではありません。山梨県です。
しかし、小菅村は東京都の主要水源である多摩川の源流の一つで、 広大な東京都の水源林があります。そして、本大会のコースの多くは、その広大な水源林の森を駆け抜けると云う稀有なコース設定と なっています。それ故、 山梨県にありながら東京トレランシリーズの一つになっているのです。
それらの森は百年以上の長きに亘り、人の手が一切入っていません。百年以上と云うことは、明治時代、いやもっと昔の江戸時代からの 自然(樹木)がそのまま残っています。特に、ワサビ田地帯を過ぎ、松姫峠までの間は、ミズナラやブナなどの広葉樹が巨樹の森を 作り上げています。
この辺りの標高は約1300mあります。立ち枯れや自然倒木なども、あるがままにしてあります。地面には葉っぱが積もって保湿効果が 高い腐葉土になり、ふわふわしています。このように他にはない不思議な雰囲気を醸し出している森です。2009年夏、コース設定のため、 初めて巨樹の森を訪れた時は、スピルバーグ監督の映画ジュラシック・パークの世界を彷彿させられたものです。
さて、大会の方は、素晴らしい晴天に恵まれ、 秋の爽やかな空気いっぱい中で開催されました。まさにトレラン日和と言ったところです。
余りにも良い天気なので、スタッフから「昨年と(晴れが)半々だったら良かったのに」という声も聞こえてくるほどでした。
昨年は台風の直撃で、急きょ、中止に追い込まれたという苦い思いがあります。そんな事情があったので、もし、今年も悪天候で 中止にせざるを得なくなったらどうしようと、心配していました。だから、 “今年は、どうしても晴れて欲しい”と云う強い願いが、 スタッフ全員にもありました。結果、晴れて本当に良かったです。
例年通り、今年も大会会場である”小菅の湯”広場は、真っ白いソバの花やカラフルなコスモスが満開で、 選手の皆さんをお迎えしていました。
レースの方は10:00ジャスト、船木小菅村長の号砲で、大菩薩御光太鼓がドンドン鳴り響く中、一斉にスタートしました。 先ず、 選手の皆さんはワサビの棚田地帯を通り抜け、標高1300m地帯にある巨樹の森を目指します。その後、緑がまぶしいブナやミズナラの 尾根道を駆け抜け、松姫峠に到着します。ここには第1エイドがあります。
エイドには給水だけでなく、捻挫などに即対応できるよう 東京スポーツレクリエーション専門学校の学生による トレーナーステーションも併設されました。
その後、標高1349mの奈良倉山山頂を抜け、第2のエイドがある鶴峠に下ります。そして、三頭山への登山道を上り、途中のT字を下って、 オマキ平登山口へ と出ます。(因みに、下らないで、まっすぐ行くと三頭山山頂です。)そこからは清流小菅川沿いの遊歩道を 上流へ進み、ゴール地点である小菅の湯に帰って来ると云う”山あり川あり”の変化に富んだ楽しいコースです。
現在では、全コースに亘って路面もしっかりし、走りやすくなっています。トレランコースに取り入れたということもありますが、 村民の皆さんが年間通して整備して下さっているお蔭です。本大会を立ち上げた当初(6年前)、山道が消えている部分も多々あって、 その部分を復活させるなど、チマチマ地道な作業で汗を流したのを懐かしく思い出します。
今年の優勝は渡辺良治選手(ポポロAC/東京都)です。 一昨年に続き2連覇です。
彼は今伸び盛りの若者です。将来、日本のトレラン界を 背負って立つ逸材と感じています。良きライバルの栗原孝浩選手が出走していれば、観る者にとっては、もっと面白かったと思います。
女子優勝は連戦連勝の実力者、山口季見子選手(ES関東C/東京都)で、男子エリートに交じっても遜色のない走りです。
ゴール地点では、船木村長自らが、優勝の渡辺選手(1:57:37)から始まって、 最終走者(4:54:31)のゴールまで約3時間の長きに 亘って、全選手一人ひとりにハイタッチで出迎えられていました。
我々はこれまで数多く(約200本)の大会をやって来ましたが、 行政の長が直々に選手全員のゴールを出迎えられる姿と云うのは初めて見ました。村長は「掌がはれちゃうよ〜」と楽しそうに されていました。因みに、最終走者は福岡県からの参加者です。
このような村長の姿からも、如何に小菅村が選手の皆さんを”welcome”しているのかがよく分かります。選手の皆さんにも、 村長や村民の気持ちが伝わったことと思います。我々お手伝いしている者としても、たいへん嬉しく感じました。今後、 ますます人気大会に成長すると確信しました。
大会会場の一角で“元気配信”ブースが設置されました。
この“元気配信“活動と云うのは、 日本中を震撼させた3・11直後の 2011年4月、全国的に自粛ムードが蔓延する中、強行突破(開催)したことで注目を浴びた 「第13回青梅高水山トレイルラン大会」で、 1人の参加者が東北の被災地を応援しようと云う趣旨からマイケル・ジャクソンに仮装して、胸に大きく”元気配信“と書いて出走したのが 始まりです。
なぜ、マイケルかと云うと、かつてアフリカの飢餓を救う目的で、マイケルが中心となって、1985年に「We are the world」と云う歌を 世界中に向けて発表し、 その資金を捻出しました。だから、東北の被災地にも第2のマイケル出現を願って、そして、それに肖(あやか) って、マイケルに仮装した次第です。 その時のマイケルとは、上原良文選手で、本大会にも出走しています。
あれから4年が経ち、人々の記憶から“あの日が、あのシーンが”薄れていく今日この頃、被災地を忘れないで欲しいと願う活動です。
今年の東京トレランシリーズは全4戦を 通して、そんな上原選手を応援することにしています。皆さんもこの活動に共感&応援を よろしくお願い致します。
小菅村、小菅の湯、NPO法人多摩源流こすげ、NPO法人ほうれんぼうの森、西東京市役所トレランクラブ、JT、JSBM、 佐藤スポーツ、 東京マラソンチャリティーランナー事務局、大菩薩太鼓、東京農大オープンカレッジ、東京スポーツレクリエーション専門学校