イベント報告
第1回TOKYO八峰マウンテントレイル
1th TOKYO Hachimine Mountain Trail
2015年12月23日
■KFC徒然

12月23日(水/祝)、八王子市で上記大会が開催されました。きっかけは一人のトレランナーの市職員が「八王子でトレラン大会をやろう」と 言い出したことです。

本大会は、昨年の12月から、この日の開催に向け、本格的に準備に入りました。ちょうどその1〜2年前から、マスコミでトレランは山の 暴走族で反社会的スポーツ、ハイカーにとって危険な存在として厄介者扱いされていました。確かに、公道と違って山道は警察の規制が ないので、無秩序な大会もありました。

しかし、すべてのトレラン大会が無秩序かと云うと、そうではありません。ただ、質の悪いマスコミは、まともな取材もせず、全ての トレラン大会 があたかもそうであるかのような作為的な番組を作り、世論を煽る様な無責任放送をしていました。それらの結果、 山からトレランを締め出そうとする 空気が世間に漂い始めました。

巨大メディアであるテレビの影響は本当に大きいものです。まともに取材もせず、作為的にストーリーを作って放映されてしまうと、 もう我々平民には、後の祭り、どうすることもできません。村興しイベントとして努力されている人々にとっては耐え難い放送です。

【ルール順守の模範大会を目指して】

それらの対策として、国(環境省)や東京都はハイキングコースを使う上で、早急にルールが必要と考え、 国立公園内や自然公園内に あるハイキングコースに対し、自然公園利用ルールを策定し、2015年4月に施行しました。

そんな背景があり、本大会は、世間の空気に配慮しながら、東京都の自然公園利用ルールを順守した模範的な大会を目指すことにしました。 また、ハイカーに人気の高尾山を持つ八王子、そこでのトレラン大会ですから、かつてないほど、ハイカーに気を配って作られた大会でも あります。

日本の山道は国民の財産であり、ハイカーやトレランナーやMTB等々の特定の人のものではありません。そして、 人間の造った山道(トレイル)というものは、人が通らなくなると消滅してしまうものです。

現に、地方では、人の通らなくなった山道は もの凄いスピードで消滅が進んでいます。おそらく、もう10年もすれば、都心に近いトレイルでも、高齢化、人口減に伴い、その多くが 消滅すると思います。

だから、本大会のコンセプトを「Share The Trail」にし、「皆で山道を分かち合って使いましょう」になりました。今や、 世界的にもこういう流れにあり、的を射たキャッチコピーだと思います。

【コース概要】

本大会はone wayコースでスタート地点とゴール地点が違います。スタート地点は八王子市の北西部上恩方町にある 「夕やけ小やけふれあいの里」です。ゴール地点は京王高尾山口駅に近い高尾町「落合公園」です。 コース詳細は【こちら】をご覧ください。

本大会のコースは大きく3つに分けて運営されています。最初の3分の1は、スタートから和田峠まで。この区間が最も標高を稼ぐ区間で、 脚にキツい区間です。そして、コースの大部分がハセツネのコースと重なっています。

次の3分の1は、和田峠から大垂水峠の区間で、陣馬、景信、小仏城山の人気スポットがあります。この区間は下りベースで、 気持ちよく走れます。但し、もっともハイカーに気を配る区間でもあります。

最後の3分の1は、大垂水峠からゴールの落合公園までです。その中間地点である三沢峠までは下りベースで楽しく走れますが、 そこから先は、 小刻みなアップダウンが連続します。疲れた脚には相当に堪えます。転倒や怪我に要注意区間と考えています。

コース上の選手のカバーに関しては、八王子教育委員会スポーツ振興課を中心に恩方連合町会、恩方夕やけスポーツクラブ、 浅川連合町会、 浅川地区総合型スポーツクラブ、八王子トライアスロン連合、 八王子市山岳連盟、富士森走友会、NPO北丹沢山岳センター、 青梅走ろう会、そして、我々KFC組が担いました。

【実測距離とGPSデータ】

距離に関しては、GPSデータでは33qとなっていますが、実際には3割増しの40qはあると考えています。

GPSは衛星を利用しているので、三角形の斜面は底辺の距離になります。また、全コースをトレースして計測するのではなく、 ある程度の間隔に 点を打ち、その点を基準に測るため、九十九折りコースは直線扱いで計測されることがほとんどです。

よって、GPSデータは、公道のマラソンでは正確ですが、 山では相当の誤差が生じます。我々は過去の経験から山での距離は GPS距離の3割増しと考えています。

【いよいよレース開始】

スタートは08:00を予定していましたが、急きょ15分遅らせました。と云うのは、JR高尾駅から選手を搬送してくるバスが遅れたからです。 スタート時間の大きな遅れは大会運営全体に混乱を生じさせますが、15分程度なら問題なしです。

08:15、石森孝志八王子市長の号砲で、高尾警察署の白バイを先導に約800人の選手が一斉に入山トンネルを目指してスタートして 行きました。 トレランレースでの白バイ先導は珍しい光景です。

また、ゲストランナーである鏑木毅選手は最後尾からスタートし、 前を行く選手に声を 掛けながら次々にパスしながら走られました。

【レース展開】

レースは予想通り、順調に展開して行きました。レースの模様は「百聞は一見に如かず」で、下記のレポートフォトをご覧下さい。

この日は朝から曇天、昼頃から雨が降り始めるというイマイチの天候にも拘らず、レースは終始順調に展開し、ハイカーとのトラブルも なく、心配された怪我人や 低体温症患者も想定の範囲内で、その対応もテキパキし、成功裏に終えることができました。そして、 八王子に全国区の素晴らしい スポーツイベントが誕生した瞬間です。

記念すべき第1回大会の優勝者は、栗原孝浩選手(群馬県)です。前週のみたけ山トレイルラン大会の覇者です。ゴールタイムは3:10:22。 我々の予想よりも 30分も速いタイムで驚きました。

女子は田中真紀選手で、タイムは4:02:25でした。これらのタイムが来年以降の 目標タイムになるでしょう。

また、本大会は東京トレランシリーズの最終戦であるため、本大会をもって、2015年度のシリーズチャンピョンが栗原孝浩選手と 上田愛選手に決定しました。

【シリーズチャンピョンをNZ大会へ】

これで東京トレランシリーズも年間全5戦となりました。4月の青梅高水大会、5月のTOKYO成木の森大会、9月の多摩川源流大会、 12月のみたけ山大会、それに最終戦のTOKYO八峰大会です。

これを記念して、2016年度から 男女シリーズ・チャンピョン2人を ニュージーランドのクィーンズタウンで毎年11月に開催される賞金レース「クィーンズタウン国際マラソン」に招待しようと 思っています。シリーズチャンピョンの実力なら十分に賞金を狙えるレースと思います。

過去にTVで紹介された海外レースは、フランスのモンブラン大会やイタリアのトルデジアン大会は過酷な長距離耐久レースで、 敷居が高すぎ、誰もが参加できて、楽しめるという大会ではありません。

しかし、このマラソン大会は70%が未舗装路というレースで、アップダウンもそこそこで、マラソンという名称ですが、我々の感覚では トレランレースそのものです。

因みに、2015年11月開催の「第2回クィーンズタウン国際マラソン」の模様は【こちら】をご覧ください。

【レポート・フォト】
【Special Thanks】

恩方連合町会、恩方夕やけスポーツクラブ、浅川連合町会、 浅川地区総合型スポーツクラブ、八王子トライアスロン連合、 八王子市山岳連盟、富士森走友会、NPO北丹沢山岳センター、青梅走ろう会

写真:小野口健太、中屋重雄