イベント報告
第20回タガマン
20th Tagaman in Saipan
2009年4月25日
■第20回タガマン参戦記 松丸真幸
■使用機材
サプリメント  
MEDALIST:顆粒、フリーダム、ゼリー
補給食  
POWERBAR:バー、ジェル
レースウエア
2XU:エンデュランストライスーツ ブラック
ランキャップ
2XU:ランキャップ
ゼッケンベルト
2XU:レース用ナンバーベルト
ソックス
EXUSTAR:クールマックスソックス
フレーム
CORRATEC:C-TIME CARBON
フォーク
CORRATEC:CORRATEC VOLL CARBON
シートポスト
CORRATEC:コラテックエアロシートポスト
アイウエア
ALPINA:BENOX
ヘルメット
ALPINA:MORANO
バイクシューズ
SHIMANO:SH-TR50
ペダル
SHIMANO:PD-7810
ホイール前後
SHIMANO:デュラエース WH-7850-C50チューブラー
ハンドル
PRO:ミサイルモノコックストレートカーボン
ステム
PRO:バイブ7S OS
サドル
PRO:ファルコン
コンピューター
PRO:DIGI-W7
アクセサリー
PRO:ボトルゲージカーボン、バーテープ
タイヤ
VITTORIA:コルサEVO CX
ランシューズ
SAUCONY:SAM2007 ホワイトシルバー
ハートレイト
POLAR:RS800
■成績

優勝 松丸真幸  日本      2:59:41

2位 サム・グランダー   イギリス    3:02:03

3位 アンドリュー・ノベル オーストラリア 3:04:53

■内容
優勝候補アンドリュー選手の背後でスイムアップする松丸選手

宮古島大会から中5日でのレース。ここ最近は、3月に開催されていたが、今年は4月になった。いつもは、宮古島に向けての トレーニングの一環として参加していた。過去の成績は、一昨年、昨年ともに2位。今回、特に優勝は意識しないで気軽に走った。

タガマンは、賞金が良いせいなのか、今年も海外から強豪が揃った。なかでも、強敵なのが、大会2連覇中のディフェンディングチャ ンピオンのアンドリュー選手。元デュアスロンの世界王者だ。ラン勝負になってしまうと勝つのが厳しくなる。あと、先週の]テラ〔オ フロードのトライアスロン〕inサイパンで優勝しているイギリスのサム選手。バイク、ランが強い後半型の選手だ。

朝4時半に起床。朝飯でパワーバーを2本。ジェルを3つ食べた。会場に向かう。当日の天候は、快晴で暑かったが、宮古島で暑さなれしていた ので、さほど気にならなかった。スイムは、PICホテル前の海。リーフに囲まれ、とても穏やかな場所。透明度も高く、遠浅であるので初心者には お勧めのレースといえよう。ここを逆三角形で泳ぐ2周回。

時速43km時の松丸選手のライディングフォーム、バイクはコラテックのTT使用

朝6時にスタート。賞金のかかるプロは、ウエットスーツ禁止。2XUの抵抗の少ないウエアを着用した。体が軽かったので、スタートダッシュ でうまく第2集団に入れた。マークしたのは、アンドリュー選手。一緒に上陸できた。作戦通り。5位くらいでバイクに移った。

バイクは、60km。序盤は海岸線のフラットコースだが、意外と風が強いし、後半はアップダウンのあるコースだ。私は宮古島と同じコラテック のC-TIMEカーボンをチョイス。ホイールは、さすがにディスクを使えるほどの体力がなかったので、シマノのデュラエースを使用。リムハイト50mmな のでエアロ効果はある。また、剛性もあるので、ダンシングでパワーを出しても、耐えてくれて推進力につながる。

バイク序盤で、前を走る選手をパスして先頭に立つ。順調に走っていたが、切れがない。明らかに疲れていた。しかし、焦りはなかったので、リラッ クスして楽しく走ることに努めた。

ラン独走の松丸選手、火炎樹が美しい。

サイパン最北端の観光名所「バード・アイランド」を1位で通過。2位はアンドリュー選手、3位はサムの選手。サム選手の調子が良さそうだ。この 辺は、アップダウンが多い。リズム良く走るように心がけた。

昨年のように、平均時速40kmオーバーとはいかなかったが、トップでバイクを終了。ランシューズに履き替えて、エイドステーションにあるゲータ ーレード、水を飲んで、ランコースへと飛び出す。

ランニングは、海岸線を走るフラットなコース。だが、日陰ゼロなので暑い。スポンジをもらって体を冷やす。後ろとの差はどれくらいか?折り返し地点 で、2位はサム選手。3位にアンドリュー選手だ。逃げ切れるか?このままペースが落ちなければ、大丈夫。しかしながら、10km過ぎたあたりから、疲れが見 えてきた。あと5km。ここからが正念場。

表彰式の様子、右端が松丸選手

この頃になると、もう暑さは気にならなかった。サム選手が食い下がってくる。ここまできたからには譲らないぞ!調子のピークは過ぎているが、10年 以上かけて、作り上げた体のベースがある。自分でも本当に強くなった。最後は踏ん張ってトップでゴール!嬉しい!日本人としては、宮塚英也選手以来の11 年ぶりの2人目の優勝者。トラアスロンを始めた頃、夢描いていた、憧れのタガマン〔勇者〕にようやくなれた。

レース後は、会場にあったパンやオレンジを食べて、また回復に努めるために、フリーダム、メダリストゼリーを飲んだ。終わったあとのクエン酸は、なん でこんなに美味いのだろう。

感想

いつもサポート本当にありがとうございます。これからもどうか宜しくお願い致します。

■第20回タガマン参戦記 高野紀子
第20回タガマンのスタートシーン。明るさに問題はない。

今回4回目の参加でした。タガマンは、私とトライアスロンを繋いでいる唯一の大会であり、大会が終わると思い通りに走れない自分にショック を受け、「もう辞めたほうがいいのかも...」 と必ず迷い、それでもその気持ちをくつがえす程の素敵な出来事が必ず起こり、また次の大会へと導いてくれるという不思議な縁の大会です。

ということで 今回も何が起こるか楽しみにサイパンへと降り立ちました。木曜日に着くと島を巡ったり魚に突かれながらも美しい海で回遊し、 のんびり時間を過ごしました。これぞタガマンの醍醐味です。

そのリラックスムード覚めやらぬまま大会当日になり、まだ星が輝く中 一番乗りでスタートの海岸へといき、ボーッと空を眺め夜が明けるのを 観ていました。

そして 和やかながらも良い緊張感ありのスタートで一年ぶりのタガマンのスタートがきられました。

バイクで飛ばす高野選手

レース中は いつものことながら外の景色をみるより 自分の内側の景色を見ながら前に進んでいくといった感じで、時々一生懸命応援してくださ る方達の声が心に入ってくる以外は ほぼ完璧に閉じた自分の世界でレースしていたと思います。

その世界も、ランの終盤には 「あれ? ランコース前より長くないかい? 早くゴールしなければ歩いてしまうじゃないかい...」というグテグ テの感情にどっぷり浸かり、意識が少し朦朧としたまま半笑いでゴールしました。そんなこんなでレース中には いろんなことがあったものの無事ゴー ルができ、ありがたいことに表彰までしてもらい、たらふく食べ、何事もなく日本という現実に戻ってきました。

タガマンのフィニッシュ・シーン

そういえば 今回 奇跡的な出来事は起こらなかったな、と思っていたのですが、よーく よーく すごくよーく 考えてみたら、今回一度も「辞めたい」 「もう出ない」という悲壮感漂う自分に出会ってなく、日本に帰ってからも普通に練習して次の大会に出る気でいる自分がいて、 「こ、これって ある 意味なによりも ミラクルやんかー!!」 って気づいてしまいました。

悲しい歴史があるサイパン島 だけどその分 優しさと大自然がある島そしてその島であるタガマンは私にとって、とてもとても大切な大会であり奇跡 が必ず起こる大会でありました。地元の方、応援してくださった方、毎回大会に引っ張りだしてくれた高橋さん、本当にありがとうござい ました。

■KFC徒然
サイパンを代表する火炎樹(フレームツリー)の花。青い空とのコントラストが美しい。

サイパンという島で20回も継続しているイベントはあま りない。タガマンはKFCのサポートイベントなので1週間も前から入って準備することはしない。だいたい選手と同じく2日前の木曜日にサ イパンに入る。

今年の日本人選手は約20名と多くはない。昨年末くらいに、ダイレクトメール、インターネット、雑誌「トライアスロンJAPAN」など で参加者を募ったが集客状況はイマイチだ。最近はトライアスロン界に元気がないように感じる。

近年、トライアスロン人口が増えて来ているという人もいるが、そうは思えない。その証拠に今年1月に国内唯一のトライアスロ ン雑誌が休刊になってしまった。確かに、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアなどでは非常に盛んだ。おもしろい大会もたくさんある。

北部の丘陵地帯を行くバイク

しかし、日本の場合は規制が厳しすぎて、手軽に楽しめる大会が首都圏近郊にない。これでは元気がなくなるのは当たり前である。公園のプー ルを使ってお茶を濁すような大会はあるが、あれは自然を楽しむというトライアスロン本来の姿とはちょっと違うスポーツだ。

通常サイパンには約3時間で到着するので、朝出発すれば、午後3時前位に到着する。それから、自転車を組んで試走したり、海で泳いだ り等、思い思いに過ごすことができる。“安・近・短”がサイパン・マリアナ諸島の魅力的なところだ。

ノースウエスト航空(現在はデルタ航 空の買収されている)の機材はだいぶ小さくなり200人ほどしか乗れない。一昔前のジャンボ機の半分程度しか乗ることができない。しかし、 小さくなった分搭乗時間が短くスムーズにサイパンへ到着した。暑い!ここでも、地球温暖化の影響か?!今年のサイパンはやたら暑い。雨が降 らず、天気は良さそうだ。

ヨットハーバーの横を走る選手

今年も南の島のトライアスロンが大好きな松丸真幸選手が参戦する。彼も我々KFCと同じくトライアスロンは南の島がよく似合うと考えている 選手の一人だ。1週間前の宮古島参戦の疲労が残っているという。宮古島ではよく頑張って総合2位(日本人1位)だった。この時点では疲労が 残っていて当然だ。通常、体が回復するまで1カ月ほど要する。

タガマン大会は意外と世界の強豪選手が参加してくる。オーストラリア、アメリカ、ヨーロッパの強豪選手たちだ。これら強豪選手たちは賞金 狙いでやってくる。タガマンの1週間前に開催されたエクステラとWエントリーしてガッチリ賞金を稼いで帰るのだ。

因みに、今年のタガマン優勝 賞金は男女各3000ドル(約30万円)だ。これは宮古島大会の優勝賞金の約3倍に当たる金額だ。2位は2500ドル、3位は2000ドル ・・6位は500ドルといった具合だ。

フレームツリーフェスティバルの様子

夕食は、ガラパンで毎週木曜日の夜にガラパン地区で行われている“ストリートマーケット”へ行こうと思っていた。しかし、今年は運よく “フレームツリー・フェスティバル”が開催されていたので、そっちに行った。場所は、サイパンワールドリゾート近くのビーチ沿いの公園だ。

そこには民芸品やいろいろな食べ物の屋台が立ち並び、チャモロダンスやバンド等もやっている。サイパン・マリアナ地区のブースの他に、ヤップ やミクロネシアなどの近隣諸島のブースもある。食べ物もとても安くて、おいしく、ボリュームもある。夜祭りのような賑わいだ。ローカルもたく さん来ていて楽しい。

このフェスティバルのタイトルにもなっている“フレームツリー”や“マンゴー”も、以前はこの時期にはなく5月中旬か ら6月に最盛期を迎えていた。しかし、今年はフレームツリーもまっ赤に咲き、マンゴーもおいしく食べられた。きっと地球温暖化の所為だろう。 因みに、常夏のサイパンにも季節は存在する。

レース前日
食べやすくカットされたマンゴ―、20個分はある。

今日はPICで現地登録が午後からある。それさえ済ませば、夕方の競技説明会&カーボパーティまで自由にサイパンを楽しむことができる。海で 泳ぐ人、バイクで試走する人、ビーチでリラックスする人等など、皆それぞれに好きなことをして過ごされていた。

我々は友人宅へ遊びに行った。と いうのは、友人からマンゴーを用意しているから食べに来いという連絡が入ったからだ。

その道すがら、サンアントニオ地区を通りかかると、いつもと大きく雰囲気が違った。その通りに大勢いたTシャツ短パン姿の中国人労働者が全く 見えないのだ。忽然と消えてしまったという感じだ。

PICビーチからの美しい夕日

夕方5:30からPICのビーチバレーコートで競技説明会が行われた。コースは例年と同じで、PICのビーチを泳ぎ、バイクは北部のバードアイラ ンド、バンザイクリフ、グロット方面へ行く。ランはずっとビーチ沿いを走るコースだ。英語、日本語で交互に行われた。今年は韓国からの参加者が 少ない。昨今の金融危機で韓国経済がスロー状態にあるからだろう。

カーボ・パーティーはビーチに面したオープンスペースで行われた。夕日がきれいだ。PICのビーチから見る夕日は美しい。今年もいつものようにとてもおいしい。ブッフェスタイルで、食べ物も飲み物 もたくさんある。ただ選手の数は日本人20名弱、現地のトライアスロンの参加者と合わせても少ない。テーブルの数、会場の人々を見ても、目に見えて 少なく、やや寂しい感じだ。

カーボパーティの様子

サイパンでもトライアスロンをやっていた人達がサイパンを出て行ってしまっていたり、他のスポーツに興味が移ってしま っているようで、元気がない。明日はレースなので、パーティーは早めにはけた。このパーティでも松丸選手は相変わらずよく食べた。軽く4人前は食 べる。これだけ食べることができれば、調子はまずまずのようだ。“明日が楽しみだ…!”

夜、ホテルへ帰り、TVのスイッチを入れるとメキシコで豚インフルエンザが発生しているとCNNが報じていた。これはちょっと厄介なことになりそう だと危険信号を感じた。いつもの直感、嫌な感じだ。「鳥」が来ると思っていたら、予想に反して「豚」が先に来たのには驚いた。因みに、豚インフ ルエンザは「swine flu」という。

レース当日
2周回目に向かう選手たち

いよいよレース当日。今年はスタート時間が遅い。6時だ。この時季の6時はもう明るい。泳ぐには何の問題もない。

午前6時に100名弱の選手が一斉にスタートした。タガマンのスイムコースは、PICビーチのリーフ内なので、全般に足がつく深さで、波もほとんど なく、とってもイージーだ。トライアングルを2周回する。松丸選手はスイムを5位くらいで終え、バイクに移った。

すでに、バイクスタートで松丸選手が トップに立っていた。しかも、2位のアンドリューは見た感じ、体に精彩がない様に見える。このまま行けば、久々の日本人優勝だ。バイクをトップで終え 、ランへと移っていく。そうして、そのまま松丸選手優勝で締めくくった。

レース後のひと時。PICの沖は透明度が高いクリアな海だ

松丸選手のバイクは速い。前週の宮古島大会の疲労が残っているにも関わらず速い。彼曰く「レース本番用のTTバイクは速すぎて疲れる。」そうだ。 だから、普段のトレーニングは練習用のロードでやるそうだ。速すぎて疲れる??凡人には理解しがたい。

夕方6時にアワードパーティが始まる。それまでは昼寝をしてゆっくり過ごす人、海でのんびりする人など様々だ。皆一様にリラックスしている。PIC の海は遠浅だ。しかし、沖へ200〜300mほど出れば、水深も1.5mほどあって透明度も高い。色とりどりの熱帯魚もたくさんいる。白砂の海底に はシャコ貝もいる。サイパンの海ではPICの海がい一番きれいた。

アワードパーティで料理に群がる空腹の選手たち

ビーチサイドのオープンスペースでアワードパーティが始まった。おいしそうな料理がいっぱい並んでいる。先ずは空腹を満たすことから始まる。

ホテルの料理だから皆上品だ。肉料理、野菜サラダ、たくさんのフルーツ、様々なパスタ類が全長10mほどのテーブルの上にセットされている。

皆、思い 思いのご馳走を各自のテーブルまで持って来て、おしゃべりしながら食べる。夕日が綺麗だ。至宝のひと時だ。アイランドスタイルでプチおめかしをし ている人、変な仮装をしているサイパンの選手等など・・・。

瓜生選手のラン。ランは得意だ。

表彰式が始まった。日本人の優勝は何と11年ぶり、宮塚英也選手が優勝した時以来だ。そして、松丸選手は優勝賞金3000ドルをゲットした。 また、トライアスロンステーションの高野紀子選手も3位入賞で2000ドルをゲットした。

タガマンは誰でもプロ部門で申告して参加すれば、賞金の 対象になる。条件はウェットスーツを着用しないことだ。それ以外は何の違いもない。

また、年代別では、日本の瓜生英秋選手が表彰された。彼は、今年アイランドシリーズ 全戦への参加を目指している。その第1戦がタガマンだった。アイランドシリーズ とは、サイパン、テニアン、グアム、ロタ、パラオで開催される南の島のトライアスロン5戦を指す。

 
レース翌日の恒例イベント
オブジャンビーチでのランチバーベキューの風景

この日の午後は恒例の「お疲れ様」イベントがあった。サイパン島の南端のオブジャンビーチで地元サイパンの選手たち有志による バーベキューランチが行われた。

レース後という事ももちろんあるが、“ビーチで ビール片手にバーベキュー”と、日本では有り得ないような“まったり〜”な時間を過ごすのだ。

贅沢なひと時

エクステラとのダブルエントリーをしたオーストラリアやイギリスの選手、テニアンからの選手、韓国からの常連選手のパクさんとその友人、 日本からは高橋喜代子さん率いるトライアスロンステーションのグループ、サイパンに住む白人たちとその家族たち。それに松丸選手とKFCスタッフ。 総勢約70名だ。

バーベキューを焼く人、食べながら雑談を楽しむ人、ビーチで遊び人、沖へ向かって泳ぎだし人などなど思い思いにサイパン最後の日を楽しんだ。 タガマンに参加したらこのビーチバーベキューに参加しないと損だ。

帰国の日

4月27日(月)チェックアウトを済ませた後、ベトナムレストランで昼ごはんを食べ、帰国の途についた。 成田空港では豚インフルエンザ対策として 乗客の体温をチェックするサーモグラフィーがセットされていた。