イベント報告
第4回東京ヒルクライムNARIKIステージ
2010年8月15日(日)
4th Tokyo Hillclimb Nariki Stage !!
■KFC徒然
【ここに至るまでの経緯】

今年、4年目にしてようやく長年の念願だった都道である成木街道の5kmを競技コースに組み込むことができた。

かつて、2004年 から2006年まで、なちゃぎり林道(5km)を使って上成木バス停から高水山までのマウンテンバイクによるヒルクライムレース を3回開催していた。

しかし、勾配がキツイことやコースが人里から全く離れてしまうことなどから参加人数が50名くらいしか集まらず、 村興しや経済 効果などは全く期待できなかった。運営する私たちにも将来性の見込めないイベントを続けていくことには辛いものがあった。

その状況下で出たアイデアが成木市民センターから黒山山頂までの、都道成木街道(5km)と常盤林道(5km)を使った距離10km のロ ードバイクによるヒルクライムレースだった。成木街道は清流成木川に沿った2車線道路で、休日ともなれば、サイクリストが 大勢往き交う関東圏西部ではよく知られた練習コースだ。

練習とは違いレースに使うとなると青梅警察や東京都などの許可が必要となる。そこで成木地区自治会の代表と青梅市役所職員と私たちとで 青梅警察 に何度も足を運んで話し合いを持った。常磐林道に関しては何とか使用許可をもらうことができた。

しかし、成木街道の5km部分 に関しては 、青梅警察の道路使用許可がなかなか下りなかった。林道部分に比べて、都道の部分は、その壁が余りにも大き過ぎた。

仕方なく、2007年8月に常磐林道部分だけを使い「第1回東京ヒルクライムNARIKIステージ」と名を打って ロードバイクによるヒルクライムレースを開催した。ヒルクライムはゴール後の下山が寒いので開催日は真夏にこだわった。

【荒れ放題の林道】

黒山山頂へ続く常磐林道は舗装されているが、長年にわたって整備清掃が全く行われておらず、周りの樹木から落ちた葉っぱや小枝が 積もって長年の間に土に変わり、それに草や灌木やコケが生えて道幅が半分ほどになっていた。

特に民家のない頂上からの3km間は荒れ放題の状態だった。 とてもロードバイクの走れる状態ではなかった。皆で時間をかけて掃除することで対応した。KFCお得意の力技だ。

そして、私たちの手で林道の整備掃除が進むにつれて、事情を知らない人たちは突然林道が綺麗になったことに驚き、 地元の成木界隈でちょっとした噂になったりもした。

そう云えば、1994年のロタブルートライアスロンの立ち上げ時にも同じようなことがあった。 島の道路や港を掃除する私たちを見て、いろんな噂が飛び交ったものだ。

そして、2008年にも再度、地域の代表者、青梅市役所の職員、それに私たち3者で、できる限りの説得資料を持って 青梅警察へ成木街道を使わせてもらえるようにお願いに行った。しかし、この時も壁の大きさを痛感しただけで終わった。

【4年目にして、ようやく】

青梅警察には、この間継続して私たちの関係する各大会の運営方法を説明したり、見てもらったり、その後も諦めず、 事あるごとに成木街道の使用をお願いし続けた。さらに地元の人たちの開催に対する熱意も並々ならぬものがあった。

今年の1月に松丸真幸選手(ロングのトライアスロン日本チャンピオン)に成木街道の試走を依頼し、青梅警察と共に トップ選手の正確な各地点の通過予想タイムを確認した。これは当日の交通規制を行う上でたいへん重要なポイントだ。そして、 ついに3年間の粘り強い努力が実を結んだ。

次は都道成木街道の管理者である東京都の承認をもらわなくてならない。

東京都西多摩建設事務所では、過去に東京都内でう回路のない道をこれほど長い距離にわたって通行止めにしたことはない と言うことだった。例外である皇室行事と国家行事を除いて。

それなのに、すでに警察の許可が下りていることにたいへん驚かれていたが、 う回路の対策や地域の人たちの熱意と協力や過去の経緯などを説明し、通行止めの承認を頂くことができた。

この結果、ようやく今年の第4回大会から成木街道の5kmをレースに使えるようになったのである。

コースが延長された ことで、より大勢の地域の人たちが係わり、成木地区挙げての大規模イベントになった。 これでようやく当初考えていたような村興しイベントに成長する可能性が見えてきた。

【頭痛の種】

今年は大会日1週間前にはコースの整備清掃が全て終わり、いつでもレースができる状態に仕上げていた。ところが、世の中、 上手くいかないもので、翌日の月曜日から毎日のように大会前日まで夕立や雨が続いた。ほとんど消滅していた林道のコケが 雨と暑さで路面の一部にジワ〜と出てきたのである。

夏のこの時季、林道のコケは2日間も晴れれば消滅してしまうが、逆に、2日間雨が降れば出てくるという厄介な代物なのである。 コケを焼くにも毎日降る雨の水分が邪魔をしてなかなかうまくいかない。試行錯誤の結果、石灰がコケを枯らすには有効である と分かったので、路面に撒くことにした。

確かに石灰はコケ除去に有効で枯れて茶色くなることがわかった。しかし、レースの前日に、しかも、雨で湿った路面に撒いたのは 失敗だった。できれば、1カ月ほど前にやるべき作業だったのである。逆に、路面の水分で厚く撒いた箇所がヌルっと滑ることが分かった。

大会前日と言うことで 、時間の余裕はない。これによるスリップ落車が発生しては練習を積んで参加してくれている選手に申し訳ない。 皆焦り気味で懸命に、日が暮 れて暗くなるまで、石灰の塊を竹ぼうきで取り除いたり、翌早朝4時頃からガスバーナーで焼いて水分を飛ばしたり、 できる限りの手を尽くした。

あとは晴れることを祈るだけである。レースのスタート時間は10時、それまでに2時間ほど晴れてくれれば、 路面はだいたい乾く。

【張り詰めた空気のレース当日朝】

レース当日、この日に至るまでの経緯ゆえ、第4回大会と言えども、第1回大会のような緊張感が私たちスタッフ や地域の人たちの顔から読みとれた。

天気予報通り朝から快晴だった。8時頃から真夏の日差しがガンガン照りつけてきた。成木市民センターの受付会場は 暑くて汗が 噴き出してくる。

暑い暑いと言いながらも、スタッフは皆、心の中ではもっと暑くなれと念じていた。携帯を通して、 山も晴れて、路面が乾きつつあると知らせが入る。これで心配の種が消え、気持ちがぐっと軽くなった。

レースは10時から100人一組で、2分間隔で成木市民センター前面道路からスタートして行った。スタート地点の右手を 流れる川が成木川だ。レースはこの流れに沿って源流まで上って行くことになる。

競技はタイムスケジュール通りに進行し、落車やけが人はなく、 まずまず成功裏に終わることができた。

途中の沿道では地元成木の太鼓軍団「鼓代神」と米軍横田基地の「横田サムライ太鼓」が 頑張る選手に元気を与えた。また、頂上ゴール地点では成木川の源流で冷やされたスイカが、表彰式会場では地域の人たちの手 による豚汁が振舞われた。因み に、ヤマメが住む清流成木川は荒川の支流の一つ。

【実力者揃いのレース展開】

実力者が揃う第一ウェーブのレース展開に関しては、5km地点である上成木バス停辺りをスタートから約10分後に2〜30人の 集団を形成したままで通り抜けていった。現在国内トップクラスの実力者揃い、さすがに速い!予想タイム通りのレース展開だ。

そこから先は坂がきつくなるので、集団は徐々に縦長になり、民家が途切れた辺りから高橋選手がアタックを かけ、それに鵜沢選手と南島選手の二人が反応した。しばらく3人で行くが、大滝を過ぎたあたりから高橋選手が単独で抜けだし、 そのままゴールへ。

レース結果で今年も昨年と同じことが起こった。7月開催のOKUTAMAステージの1位と2位が入れ替わったのだ。 OKUTAMAステージ優勝の鵜沢裕也選手がNARIKIステージで2位に、OKUTAMAステージ2位だった高橋義博選手が 優勝した。

この結果ポイントでは 同点となり、2大会の合計タイムで高橋選手が上回り、「東京ヒルクライムシリーズ2010」 チャンピオンに輝いた。

そして、賞金15万円 を、2位鵜沢選手は10万円を、3位高岡亮寛選手は5万円を、4位南島康一選手は3万円を、 5位乾友行選手と6位小黒篤志選手は1万円づつをゲットされた。

女子は2連覇の片山梨絵選手が「東京ヒルクライムシリーズ2010」チャンピオンに輝き、2位は昨年に続き金子広美選手、 3位は栗原春湖 選手、4位は高橋香世選手、5位は古川博美選手、6位は松丸浩巳選手で、それぞれ男子と同額の賞金をゲットされた。

【地域へのインパクト】

新コースは参加者にたいへん好評だった。前半5kmの緩い上りはロードレースのような感覚で、後半の5kmは本格的ヒルクライム として、 変化に富んで楽しかったと言う人が多かった。また、参加者だけでなく、観戦することで地域の人たちにも楽しんでもらえた。

普段、スポーツには あまり縁の ないような地域の人たちも自宅の庭先や成木街道の沿道に出て応援されていた。マラソンは見慣れている人たちでも生で見る 自転車レースはインパクトが強かったようで、その後も何かとレースの話題で盛り上がっていた。

【常々感じていること】

私たちは以前から国内の自転車レース開催について常々感じていることがある。マラソンは市民権を得て、日本全国あちこちの幹線道路を交通規制して 大会を開催している。

御上は自転車を環境に優しい乗り物として奨励しておきながらも、特別なレース(国体やエリート大会)を除いて、 誰もが参加できる自転車レースは人目に付く一般道路を使うことをヨシとしていないのが現状だ。人里離れた山の中へ追いやられたり、 サーキット をクルクル回ったりで人目に付くことは少ない。

マラソン大会のように、市民参加の自転車レースを一般道路でも開催できて、一般の人が身近に感じるようになって欲しい。 あのツール・ド・ フランスとまでは言わないが、日本でもヨーロッパのように自転車レースが市民権を得て欲しいと願っている。

例えば、東京都が音頭とって、 お台場(海抜0m)から奥多摩周遊道路(海抜1000m)までの自転車レースを開催すれば、 テレビ局も挙って放映するだろうし、東京マラソンに匹敵するくらい、 都民だけでなく、全国的に大きなインパクトを与えることになる。

そうなれば、スポーツの面からだけでなく、経済効果の面からも、高価な道具(自転車)を使う競技なのでマラソンに匹敵する 一大マーケットが国内に誕生することになる。この辺は政治家の仕事の範ちゅうだ。

【頑張る市立第七中学校自転車部】

昨年から青梅市立第七中学校では自転車部が創設され、NARIKIステージの完走を目標に練習を積んで頑張っている。

成木地区の全体の生徒数減少に伴い第七中学校も生徒数が年々減少傾向にある。それにストップをかけ、生徒数を増加させるために 校長先生が中心となって、全国でも珍しい自転車部が創設されたのである。

現在の部員数は僅か5名ですが、成木地区の皆さんやwachiレーシングチームや私たちも バックアップしており、何とか自転車部をテコにして、生徒数増加につなげたいと頑張っています。

朗報!この自転車部がNHK「いっと六けん」という番組で取材、放映されることになりました。 放映日は9月9日(水)午前11時05分〜です。ぜひ、ご覧下さい。

【スーパープロジェクト進行中】

最後に、サイクリスト、ランナー、ハイカーなどの皆さんに成木の山(空気)や川(水)の美しい自然を存分に楽しんで頂けるよう、 超サプライズなプロジェクトが成木地区で現在進行中です。

近日中にKFCホームページ上で詳細をお知らせ致します。お楽しみに!

【おまけインフォメーション】

7月開催のOKUTAMAステージに続き、NARIKIステージも高橋義博選手(優勝)によるレース展開を撮影した動画を 「高橋選手のブログ」の中で見ることができます。

この動画はレース中に小型カメラで撮影されたものです。優勝者の目線を通してレースを観ることなど早々できるものでありません。 ぜひ、ご覧ください。

[高橋義博選手のブログ]

【レポート・フォト】
【Special Thanks】

最後に、NARIKIステージ開催に当たって、ご尽力、ご協力頂いた以下の方々に感謝したいと思います。

青梅市成木第7支会、里仁会、青梅警察署、東京都西多摩建設事務所、青梅消防署、 トライスポーツ、明治乳業(VAAM)、NATHAN、バイク&スポーツ「エナジー」、 WACHIレーシングチーム、 鼓代神、米軍横田基地「横田サムライ太鼓」

写真提供:小野口健太、舘岡正俊、 池田将、市川幸次、西田光男、吉田真人