9th Palau Challenge
Triathlon+OWS+Road Race !!
2015年12月5日(土)〜6日(日)の2日間で第9回目となるPalau Challengeを開催しました。
第1日目の土曜日はトライアスロン51.5と オープン・ウォーター・スイムレース(5.0km、3.0km、1.5km)です。そして、第2日目はパラオ最大の島バベルダオブ島一周80kmのサイクルロードレースです。
今年は滞在中ずっと良い天気に恵まれました。パラオは赤道直下の島なので、マリアナ諸島(グアム・サイパン・ロタ・テニアン)と 比べるとずっと暑い気候です。そして、USテリトリーのマリアナ諸島と違って、パラオ共和国と云う立派な独立国(でも、なぜか、 通貨はUSドル?)です。だから、人種だけでなく、法律や政治形態も大きく異なります。
例えば、運転中、シートベルは危ないので、する必要はないとか、囚人は、夜さえ刑務所にいれば、昼間は家に帰っても良いとか、表の大統領に対し、 昔からの酋長と云う裏の権力の2重構造が存在していたり、等々です。
参加者が滞在するオフィシャルホテル「パラオ・パシフィック・リゾート(PPR)」はロケーションや施設など、どれを取り上げても 最高のホテルです。
特にスタッフの質は最高です。よく教育されており、宿泊客を気持ちよくしてくれます。彼らはPPRで働くことに誇りを持っているように 感じます。南の島々を知り尽くした我々KFC的にもビーチリゾートホテルではPPRがNO.1ホテルと思っています。だから、 このホテルの滞在を楽しみに毎年本大会に参加されている選手もいるくらいです。
しかし、問題は、世界中のダイバーの憧れの人気ホテルであるため、年間通して常に満室と云う状況にあります。それに近年は中国人パワーもあります。 だから、相当早めに 予約をしないと泊まれないと云うことです。今年も満室のため、大会参加を残念された方がいらっしゃいます。
因みに、このホテルは日本の 東急不動産系列のホテルです。
スイムパートはPPRの目の前に広がるプライベートビーチを使います。パラオと言えば、誰もがキレイな海がどこにでもあると イメージしますが。それは間違いなのです。島民が多く住むメインアイランドに、深さが十分にあって、安全に泳げるビーチは PPRのビーチを除いてほとんどありません。 もちろん、離島に行けば、幾らでもあるのでしょうが、そこには宿泊施設等々のインフラが 皆無です。
5日(土)6:00にトライアスロンとオープン・ウォーター・スイム(OWS)レースが同時にスタートしました。まったく波はありません。ここの海は透明度が高く、 鏡のような海です。海面には泳ぐ選手たちが創り出す波紋があるだけです。
毎年、パラオの朝の海はいつもこんな感じ、鏡のようです。
因みに、来年からはOWSレースは、場所をドルフィン・ベイに変更して、トライアスロンと同時開催ではなく、午後の開催に 変更となります。よって、トライアスロンとの Wエントリーも可能となります。
レースの方は、地元の選手がトップでスイムアップし、バイクに移っていきました。バイクはPPRのあるアラカベサン島から左右が海と 言う海中道路を通って、パラオ最大の町コロールの繁華街を抜けて、バベルダオブ島へ向かいます。
近年、コロールの市街地は人口が増え、それに伴って市街地部分の道路2〜3q間は交通量が増え、自転車は走りにくくなってきました。 対策として、警察によるトラフィック・コントロールを実施していますが、気持ちよく走れません。よって、来年からは道路の両サイドに バイクレーンを設け、そこをトライアスロンのバイク専用に充てることになりました。グアム大会と同じやり方です。
折返し地点のあるバベルダオブ島は、人口は少なく、日本で云う高速道路のような極上の道路が走っています。島周回で約80kmあります。
しかし、車はほとんど走っていません。だから、自転車にとっては天国のようなコースです。トライアスロンでは、この部分を20q走ります。
因みに、この島は、パラオ最大の島で、サイパン島より一回り大きい島です。また、パラオの玄関口である国際空港もあります。
ランはPPRからマラカル島の海浜公園入口までの往復10qです。その間に2か所の海中道路を走ったり、見晴らしの良いビューポイントを 走ったりします。そして、PPRの敷地にゴールとなります。
翌6日(日)、バベルダオブ島の周回道路を走るダイナミックなサイクルロードレースが開催されました。
これまでは道路の陥没や崩落があり、 周回できませんでしたが、今年、ようやく周回できました。スタート地点は、従来通りKBシェル石油で、ゴールはパラオ国際空港です。 距離は80qです。
道路環境は日本の高速道路並み、カーブはすべてバンクが切ってあり、スピードを落とさずに曲がって行きます。また、上り下りの坂が 長く、獲得標高数も約1300mもあり、非常にダイナミックなコースです。世界中探してもこれほどダイナミックで贅沢な ロードレース コースはないと思います。この道路が日本にあれば、といつも思います。
3種目合同のアワードパーティが6日の夕方からPPRのプールサイドで催されました。食事はバイキング方式で、野菜、肉、フルーツ、 デザート等々、普段とは違う料理が並んでいました。日本の大会では味わえないお洒落なアワードパーティです。
現在、我々KFCがトライアスロン・アイランド・シリーズを開催している南洋5島(ロタ、テニアン、サイパン、グアム、パラオ)と 日本とは特別な関係にあります。
それは、第一次世界大戦終結(1914年)か ら第二次世界大戦敗戦(1944年)までの約30年間、 日本が統治したり、占領したり したとい重い過去のある島々です。すなわち、ご迷惑を掛けた島々という訳です。特にパラオにはその当時、日本の南洋群島(パラオ、 サイパン、ロタ、テニアン、ヤップ、ポナペ、トラック等々)全体を管轄する南洋庁本庁が設置されていたほど 特別な関係にあります。
しかし、そんな重い過去があるにも拘らず、これらの島々の人たちはほとんどが親日派です。
かつて、大西は、そのことを、 グアムに移住してきた年配の パラオ人から「日本時代は楽しかった。懐かしい。」と聞かされ、世代は違うが、日本人の一人として、申し訳ない気持ちが ありつつ、有難く思い、強く心を 打たれました。
1994年にロタブルー・トライアスロン大会を立ち上げた時も、その気持ちが素地としてありました。そして、これを機に、 かつて日本時代を 経験した島々で、日本人の端くれとして、何か 貢献したいという思いが強く生まれました。その気持ちが、微力ながら現在のトライアスロン・ アイランド・シリーズと云う形で具現化しているという 次第です。 【アイランド・シリーズ誕生秘話はこちら】
アイランド・シリーズでは現地参加費と日本人参加は全て同一ではありません。パラオ大会では、日本人参加費の18,000円に対し、 現地選手の参加費は45ドルです。
因みに、現地の最低時間給は1.5ドルです。これではまともなアワードパーティすらできません。 経済大国日本選手の参加費が運営費として大いに役立っている訳です。
レース翌日、パラオ・トライアスロン連盟副会長でもあり、パラオ政府観光局理事でもあるジョーと 政府高官のバクライがランチを誘ってきました。 その席で、「ずっと前から不思議に思っていたのだけど、 KFCはどこから利益を得ているの?」と。この疑問は、現地参加費の約3倍に当たる日本人参加費を、運営費として、彼らに全部手渡して やるからです。ジョーには大西の思いを話していません。ジョーだけでなく、これまでほとんど誰にも話していません。KFCは不思議な組織と 思わせておきます。
来年は記念すべき10回大会です。パラオの友人たちは何かサプライズを計画している様子でした。お楽しみに。
パラオ・パシフィック・リゾート
カメラマン:小野口健太