TPP(Trans Pacific Partnership)に参加するのか、しないのか。今、カンカンガクガクの議論がなされている。 昨年の10月にも「TPP参加の是非と戦略物資食料」と題して書いたが、 1年が経っても全く進展がない。その原因は、この国に確固たるリーダーが存在しないからだ。
自動車産業やハイテク産業などの企業が加盟する日本経済連はTPPへの参加を切望し、片や、農協や医師会はTPPへの不参加を声高に叫んでいる。しかし、 こんなことに時間を割くのは意味のないこと。国益を考えれば、採るべき道は明らかで、議論の必要はない。
日本は60年前の敗戦の荒廃から僅か50年ほどで経済大国にのし上がった。資源もなく、国土も狭いこの国が、だ。その原動力となったのは輸出を主とする 産業であって、農業でも、金融でも、医療でもない。すなわち、外貨を稼いで、それでもって、豊かで平和な国家を実現したのだ。
そして、忘れてはならないのが、日米同盟の存在だ。戦後まもなく、戦争相手国だった日本が米国(+西側諸国)で自由に経済活動ができ、 モノを売ることが許されたのも、米国と同盟関係にあったからだ。すなわち、日本は米国を上手く利用して、経済大国にのし上がったのだ。
世界中を見渡しても、米国をこれほど上手く利用して発展して来た国は、他にない。日本人には、米国を上手く利用する才能が備わっているようだ。
今後の日本を鑑みるに、やはり、日本経済は自動車やハイテク製品を輸出する企業に海外で稼いでもらわなくては成り立たない。農業が日本経済を 引っ張って行くことなど有り得ない。
また、現時点で、TPPに参加することで、金融や医療がどう変わるのか、明確なところは、学者や政治家を始め、 誰にも分かっていないのが現状だ。それゆえ、マイナス思考が先行し、怖がっているだけのことだ。
怖がらず、積極的に打って出て、過去にやってきたように米国を上手く利用して、発展していけばよい。それがやっていける国だし、もし、 それができなければ、衰退していくのは仕方がない。それが日本の実力だからだ。世界は常に変化を続けている。勇気を持って、その波に乗らなくては 生きていけない。
それに、認めようが、認めまいが、日本は米国に逆らって生きて行くことはできない。なぜなら、国家の存亡を左右する国防を米国に委ねているからだ。 すなわち、日本は米国の自治領のようなものだ。一人前の独立国とは、どこの国からも認められていない。しかし、ほとんどの日本人は独立国だと 勘違いしている。
そんな国が米国主導のTPPには参加できないなど、勘違いも甚だしい。日本人はもっと国際政治を勉強した方がいい。自国の立場を正しく認識して、 初めてTPPを含む国家戦略を練ることができるのだ。特に、国民をリードする政治家は日本の立場を自覚して、事に当たらなければならない。
但し、食料は戦略物資である以上、農業を衰退させる訳にはいかない。だから、欧米のように企業が海外で稼いで得た税収から農家の収入を 補てんすればいい。
現行のような農産物の価格補償と云うぼんやりしたものはなく、思い切った政策を取る必要がある。例えば、専業農家一所帯に付き年間500万円を 支出する等などだ。
農家に農業を安心して続けてもらうためには、明確な数値を示す必要がある。また、医療や金融にしても、守るべきところは守ればいい。 国家に財源さえ確保できていれば、その方策はいくらでもあるはずだ。