イベント報告

マニャガハ島からの脱出!
第3回エスケープ・フロム・マニャガハ・アイランド!!
3rd Escape from Managaha Island!!

■第3回エスケープ・フロム・マニャガハ・アイランド!! ―
3rd Escape from Managaha Island!!
―油座章一(FSIABC)



■三度目の正直
一昨年の第一回大会(11月)から、昨年は6月の開催へと変更したこの大会ですが、連続して天候に見放されたことでKFC大西さんも「もーやめた宣言!」をHPに掲載していた時期もありましたね。
遥か後方に見えるのがマニャガハ島 しかし、一度も脱出できないまま2年参加し続けた自分も、少々寂しい気持ちだったことは確かでした。
初夏の大会を皮切りにOWSレースに出場する(あくまでもマイペースで泳ぐ!)ことが目標で、冬のあいだ公営プール通いをする自分には、「是非とも泳ぎたい大会」の一つでした。
ところが、そんな矢先(2月の初旬でした?)、大西さんよりさらりとメールで「2大会(マニャガハとココス)募集情報」なんてのが流れてきたときには、3年ぶりにココスの大会へと傾いていた気分も、一気に「マニャガハからの脱出:三度目の正直」へと揺り戻しました…



遥か前方に見えるのが上陸地点のマイクロビーチ今年は気候の安定する5月まで、開催時期を早めたこの大会は、本番の二週間ほど前に季節外れの台風が発生して気を揉ませましたが、既にエントリーを終えツアーの申込を済ませている自分にとっては、何の懸念もなく「三度目の正直」に挑む心境で、あとはお天気と運任せ・・・



■そしてサイパンへ
5月20日、自分達を乗せたNW076は、午後のサイパン国際空港へと着陸しました、今回の応援団もこれまた3度目となる両親で、初回以後〜嫁さんと娘は留守番です。
飛行機を降り、エアコンの効いた空港のロビーから、30度近い常夏の雰囲気の中に出る瞬間が、自分は大好きです。ちょっとぼんやりした空気の中、成田では少数派だった短パン姿の自分は、この瞬間に来て良かった最高〜と実感します。3時間ちょっとで、こんな気持ちのいいところへ来られるんです!



水中から、奇麗なフォームで、脱出開始!ツアーバスに乗り込み、前日の受付・説明会場も兼ねた、ハファダイビーチホテルへと移動して、チェックイン。毎年「第一ホテル」でしたが、大会当日の夜明け前に、集合場所のココまで歩くのが面倒になり・・・
隣のスーパーへビールの買出しにいきながら、エントリー受付のためKFCのブースに立ち寄ると(お〜いどっちが大事なんだ?)、大西さんから、うれしいプレゼント。

自分が今回3回目の開催で、「唯一続けて参加している暇人」との事で、すてきなKFCの刺繍入りキャップを頂きました、自分のために特別に作って頂いたそうで・・・(表彰式にも、かぶって行ったのは云うまでもありません!)ありがとうございます、大事にしますよぉ。



「今回は何人出るんですか?」と聞きながらエントリー表を見ると、50人ちょっとですが「明日の天気は大丈夫でしょう!」と、大西さんも嬉しそう、自分も「今年は脱出しますよ〜」と、にやけていると・・・いきなりココで、左右の腕に17番とナンバリングされまして、大会気分も盛り上がってきます。


夕方18時からの競技説明会まで、涼しい部屋でビールを飲んでのんびりしていると、既に説明会の開始時間を過ぎていました、慌てて1階に降りたときには、あっさりとコースの説明は終了していたらしく、地元選手向けに、英語での説明に代わって、あっけなく終了。




間もなく、脱出成功!脱出泳ですから、質問なんて無いのですが、レースの進行はいたってシンプルです。
マニャガハから泳ぎ始めたら、半分まではサイパン島で一番高い「タポチョ山」を目標に進み、航路にある赤と青のブイを通過したら、少し右手に見えるゴール地点のマイクロビーチへ、目印を見ながら帰ってくる訳です、みんな始めてのコース設定ですから、まずは泳いでみなけりゃわかりませんが、去年のマニャガハからの景色を思い出しながら反芻していると、昨年も参加していた「井上さん」と再会。今からエントリーするとの事で、自分がコースの説明もさせて頂きました。
今日は早めに休もうと、隣の焼肉屋さんで晩飯を食べている最中も、左右の腕にゼッケンが書いてある訳で、妙に落ち着きませんね〜




■レースの朝
4時半の目覚ましに起こされ、まずはストレッチしてから燃料をいれます。
2時間後にスタートして3Kmですから、そんなにお腹も減りませんが、パンとバナナに10秒チャージで、終了!
両親に見送られ、5時5分前に1階へと降りると、いますいます薄暗闇のロビーに選手達が〜
井上さんを見つけて、昨年の「台風で帰れなかった話:第2回のKFCレポートにあります」などしていると、声を掛けてきたのが、四国から遠征の橋田さん。自分と同年代と見たのか、色々と話をしました。
まだ夜が明けきらぬ中、選手を満載したバスは出発〜10分ほどで、マニャガハ行きのフェリーに乗り換える、チャーリードックに到着し乗船です。第一回の大会では、「SWIM」の取材もあって、1階に乗り切れない選手は、小雨の中2階のデッキに乗って「寒かった」事など、思い出しましたねぇ(自分はその2階に居たわけですが、本当に冷えました・・・)
バスの中から、引き続いて我等3人組は、途中(中間地点)の目印であるブイを探してキョロキョロしましたが、同じ赤と青のブイが2組あって、結局どちらがその目標なのか?判らずじまい。いい具合に夜が明けてくる中、井上さんのデジカメで、記念写真など取りながら、15分ほどでマニャガハに到着です。



サイパン・マイクロビーチを目指して泳ぐ選手達日中はビーチもレストランもお客さんで賑わう中、この時間フェリーから降りてくる「我等選手団」は、揃いのスーパー袋(ゼッケン番号が振ってあって、最小限の手荷物を入れておくと、ゴール地点まで持っていってくれます)を手に、ぞろぞろとセンターハウスに向かいます。
改めてエントリーの最終確認と、薄くなったゼッケンは念を入れて手直ししてもらい、6時半のスタートを待ちますが、活きの良い選手達はたまらず海に入り、とてもアップとは思えないような泳ぎを披露しています。
自分はどうかって?初めてココス(グアム)に出たときは、スタート前に緊張して、トイレに並んだりもしましたが、最近はそういうことも無く、まずストレッチしてから道具を点検し(ゴーグルだけですが)、スタート直前に日焼け止めとワセリンを塗って準備完了です。
ワセリンは、あまり早く塗ってしまうと体温で溶け出しますので、ビニール袋を使って上手く塗ります、これはゴーグルについたりすると、少々やっかいですしね。
そして、自分はアップしません、その代わり最初の数分をちょっと頑張ったペースで泳ぎ、方向を確認しながら、徐々にテンションを上げていきます、これが何時まで経っても早くならない原因かもしれませんが、これで良いんです、先は長いですから・・・



■初の脱出!その結果は〜
夜も明けきって、花曇のレース日和となってきました。あまりピーカンだと、辛いですよね「背中」が!どうしても、泳いでいるうちに日焼け止めが取れてきますから・・・
昨年も泳いだ、広くて白いビーチを横目に桟橋へと引き返し、その先のマイクロビーチ側の狭いトコが今回のスタート地点。50人強の選手達を前に、大西さんから一言あって、いよいよ3分前〜慌ててアップする井上さん、サンゴ礁で足を取られる選手達も、少しでも良いポジションからスタートしようと、前へ前へ出て行きます。

さて、スタートのカウントダウンが残り少なくなると、更に早い選手がじりじりと前に出て行きますが、自分は最後尾に付きました。キャップをかぶりゴーグルをつけ、大西さんの満足そうな顔を見ながら、マニャガハ島にも手を振り、その瞬間を待ちます。頼りないエアーホーンを合図に、選手達はそれぞれのルートに向かって、泳ぎ始めました。



毎年参加の現地スイマーサンゴ礁の海底を見ながら進むうち、すぐに選手達はチリジリになり、ブレスの際に左右を確認しても、見えるピンクのキャップ数が、だんだん減っていきます。
最初の目標は大きなタポチョ山ですから、間違いようがありませんが、なんせ的が大きすぎるので、「本当にこの方向で合っているのか?」不安になってくるものです。しかし、考えてもろくな事はありません、間違いなく向こう岸には近づいているはずです。
右に見えるピンクのキャップが50m以上離れていても、自分の進むルートが最善と信じて進むだけです。2年続けてマニャガハ島の「特設コース」を泳いだ記憶では、ここからサイパン島までフォローの流れに乗っていくはずです、調子に乗って右手(ハイアットホテル側)に押し出されないよう、景色を見ながら確実に進みます。



オレンジ・ブイにタッチが上陸成功の瞬間!スタートして20分以上経過し、中間地点のブイが見えてきても良いはずが、一向に見えません。さらに、先程から自分専属となったような「黄色のカヤッカー」が左手に居るのが、気になります。
ヘッドアップしながら彼を見上げると「Right!」と、方向を指示されました。
自分がだいぶ左に居るようですが、タポチョ山とマニャガハの位置関係から、そんなにコースから外れていないと確信していますので、徐々に右手に進路を変更して、マッピ山が少々左手に見える角度に進みだすと、彼は別の問題児を見つけたらしく、自分から離れていきました。
この距離なら、左右に50m位はバラけるんじゃないかなぁ?

途中わき腹が痛くなり、気持ち悪くなりましたが、少々ペースを押えたトコで安定してきました。爆弾を抱えた左の足首も、今日は快調にキックしています。
あとは「目印」を確実に補足すればいいので、しきりにヘッドアップを繰り返しゴール方向を探ると、ビーチにポチッとオレンジのブイらしきものが見え、ゴール地点が確認できました。
既に40分ほど経過していたのですが、先頭集団はゴールしてたんですねこの時間で・・・!
現金な物で、ゴールのブイが見えたことで、気持ちペースアップします。
途中初めて黄色い暫定ブイを発見し、海底がまた見え始めると更に元気が出て、ゴールに対してやや左側からのコースを、予定通り進んでいきます。
50cm程のエイが、自分の下を泳いでいま〜す。



上陸地点の風景だんだん浅くなるにつれて、サンゴ礁がせり上がっている所もありますので、プルを浅くする場面もありましたが、ココスのラスト500mに比べると、たまたま自分が通ったルートが悪かったのかもしれませんが、派手なサンゴや熱帯魚は、あまりお目にかかれませんでした。(残念!)

ビーチの景色が近づいてくると、みんなが自分を応援してくれているようで、気恥ずかしくなってきますが、いよいよゴールです。
だんだん浅くなってくる砂地を見ながらストロークを大きくして、ふらふらしない様に立ち上がる、ゴーグルを外し、時計を止めたらガッツポーズの手順も、図々しくなった年頃には、手慣れたものです。
50分前半を目標に泳ぎだしましたが、上がってみれば55分と少々でした。プールの3Kmで、53分程度ですから、今回も楽しんで泳いだ結果です。
本当に楽しく泳げました!応援団の両親と再会し、大西さんに写真を撮ってもらったりして、橋田さん井上さんのゴール完泳も確認、みんなで記念撮影をしてこの場は解散、夕方からの表彰式で再会を約束し、ビーチを歩いてホテルに帰りました。



右端が油座さん、左に井上さん、橋田さん夕方、プールでのんびりしていると、表彰式の開始時間を過ぎていた事に気付き、あわててホテルを出発。歩いても15分ほどですが、両親も連れて行くため、タクシーを奮発。会場に着いた時点で小一時間過ぎてしまいましたが、まーだ準備中でセーフ!予定時間をだいぶ過ぎて始まった表彰式ですが、良いんですこの雰囲気が、南国のレースですから・・・暮れて行く夕日を見ながら、おしゃべりしたり、記念撮影などしながら、始まりを待ちます。大西さんから総合と年代別に賞状と記念品を頂き、最後は全員で記念撮影〜自分はなんにも該当しませんでしたが、賞状と****を頂き・・・あとはお楽しみのパーティーです。





テイスト・オブ・マリアナのお祭り会場今年のアワードパーティは、恒例の豚の丸焼きではなく、5月の催事として「アメリカンメモリアルパーク」で開催されていた「ティスト オブ マリアナ:BBQ&ビアガーデン」というイベント会場でした、現金代わりに「トークン」というルーレットのチップのようなものを、昨日のエントリー確認時に、一人10枚づつ支給されていて、食べ物や飲み物を売っている色々な屋台で、好きなものを買って食べる〜食べる!呑む〜呑むという形式でした。
夕日が落ちた後は、延々とステージで繰り広げられるダンスなどのショーを、「無料」で楽しめて最高のパーティーでした!!!

***



大会グッズのスイムキャップ、Tシャツ・ネービー・キャップホテルに帰って10時過ぎ、いい気分の大西さんから内線電話「今回のレースの感想文お願いします〜」、こちらもいい気分で「はい喜んで〜」
KFCご一行は、29日のココス大会を見届けてから帰国したそうですが、今年のココス「アレ」は出ませんでしたか?気になりますねぇ〜 ――今年もちょっと出ましたが、大事には至りませんでした。(大西)――


こんな駄文を読んで、南国の楽しいレースに参加する仲間が、一人でも増えれば幸甚です〜
ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました。KFCのレースは最高で〜す!


※大西さん、こっそり貰った「入賞者用のキャップ」、あれは被って家まで帰りましたよ!
 文責放棄〜ありがとうございました。






■エスケープ・フロム・マニャガハ・アイランド・参戦レポート椛島君江
中間地点で写す。現地在住のアキコ選手
サイパン・マニャガハ島のレースは、私にとって初めてお目にかかる北マリアナ諸島。
KFCのオーシャンスイムといえば、海の透明度や美しい景色、島の暖かな人々との交流など、大変こだわりを感じさせる大会が多い。 ワクワクしながら待ち遠しい気持ちでいっぱいだった・・・。

大会前日、いよいよ日本を出発する朝、サイパンの天気予報を見た。なんと大会当日だけ雨。
感動するには天気も重要。「お願いだから雨だけはやめて〜」などと言っていたのが嘘のよう!!
サイパンに到着すると、とんでもないほどの青空でお迎えしてくれた。




脱出成功の瞬間!夕方にハファダイ・ビーチ・ホテルで行われた説明会では、雨の心配は要らないとのこと。
「よかった」♪
しかし、その後の説明で『過去2回まだ成功してないのです…』
????。そんなに過酷なコース?荒波?ドキドキ・・・。

実は1回目2回目とも天候に恵まれず、コースを変更したり、やむを得ず中止せざるおえない状況だったらしい。
『でも、明日は天気もいいし、波はフラット。間違いなく成功します』
その言葉信じていますよ!  サイパンの美味しいお料理を頂き、キラキラ光る星空を横目に早めに眠りに・・。




大会当日。朝5時集合でホテルからバスで港へ。
まだ真っ暗な外の景色。少し寒さも感じる。

港から船で15分くらいのマニャガハ島へ行く途中に、晴れてきた空と、世界一美しい?と思うほどの
穏やかなグリーンとブルーの輝く海を、優雅に泳ぐ魚達が『がんばってね』とお出迎えしてくれた。
気分は最高!!

マニャガハ島で再度コース説明を聞き、いざ!! マニャガ島脱出!!
スタートして海に飛びこむ。水温も22〜23℃で問題なし。お気に入りの水着で気持ちよく泳ぎ始める・・。



椛島さん、上陸! ちょっとフラツキ気味静かで透明な海、呼吸のたびに見上げる青い空、目標であるゴール地点マイクロビーチの景色。
途中、魚が群れとなって珊瑚の周辺を泳いでる姿は、レースである事を忘れて、ただ夢中で見つめてしまった・・・。

ゴール後、参加した人々の顔はみな笑顔いっぱいで、マニャガハ島からの脱出というより、私と同様、あっ!! という間の3k遊泳の旅だったのではないだろうか?(笑)
 






タッチの瞬間、消耗しきった様子の橋田選手レースの終わった夜、アワードパーティの行われたアメリカンメモリアル公園では、
サイパン島フェスタが開催されていて、ステージでは現地の子供たちのフラダンスや歌の披露が繰り広げられ、
島でも美味しい評判のお店が競い合うようにいい香りをプンプンさせて並んでいた。
お疲れビールを飲みながら、レースという形で出会ったサイパンとは別の顏が見れて、「サイパンを満喫したな〜」
と大満足でした。


こんな素晴らしい思い出を与えてくださったKFCのみなさん、私達の安全を海上で見守ってくださった沢山の現地の方々。

本当にありがとうございました。また来年も開催される事を心から楽しみにしています。





■「やっぱり海はいいね♪」
海王・たきたようこ(雑誌「SWIM」2005年8月号に掲載されたレポート)

中央正面が瀧田さん。ゴール後のひと時の風景なんとなく今回はエスケープできそうな気がした。サイパンで行われるこの「エスケープ・フロム・マニャガハ・アイランド」は今年で第3回になる。サイパン島の沖合いに浮かぶマニャガハ島は、周囲1.5kmの小さな無人島で、純白のビーチと透明度の高い海を持つマリンスポーツのメッカである。今もカロリニアン族の聖地として誰もそこに住むことは許されていない美しい島。このレースはそのマニャガハ島からサイパン島まで、通常は泳ぐことが許されていないワンウェイ約3kmのコースだ。途中、大型船舶の航路を横断するため制限時間内に航路部分を泳ぎきるという、まさに脱出泳となっている。私は一昨年の第一回大会にも参加しているが、一回目、二回目ともに天候に恵まれずエスケープスイマーはまだいない。


5月20日、レース前日の午後4時ごろホテルに到着し、さっそく選手登録をした。なんとこの時腕にナンバリングをした。なんでも明日は朝早いから今日書いちゃうらしい。それにしても気が早い。


21日、レース当日はなんと日本時間の朝3時、サイパン時間では4時の起床だ。空には星が出ていて、まだ真っ暗だ。昨夜の焼肉でもたれた胃にパンとバナナ、オレンジジュースを無理やり詰め込み、水着を着て日焼け止めを塗りたくる。(ポイント1.レース2時間ほど前までにしっかりと栄養補給をする。)(ポイント2.日焼けによるダメージを防止するため日焼け止めを活用する。)

4時50分、部屋を出ると街の夜景がきれいだった。これから泳ぐなんて信じられない。5時過ぎにバスで港まで移動し、マニャガハ行きの船に乗る。第1回の時は、この船が港でかなり揺れていたことを覚えている。今日はほとんど揺れない。きっとエスケープ出来ると思い、ますます楽しみになってきた。マニャガハ島に向かう途中、うっすらと空が明るくなってきた。みんなゴール地点が気になり、しきりに振り返って確認している。ちょっと分りにくいな。すぐにマニャガハ島に到着した。案の定、薄くなってしまった腕の番号を書き直してもらい、最後の水分補給をし、荷物を預けてビーチに移動する。(ポイント3.脱水症状にならないように水分補給はしっかりする。)陽が出てきた。スタート時間が近づいてくる。

あらためてコースの確認をする。コース上にならんだ4つのブイの脇を通ればいい。ゴール地点は3キロ先なので、ちょっと遠くて見えにくいが、なんとか確認できた。でも海からはわからないだろうなと少し不安。(ポイント4.レース前にしっかりとコースの確認をする。ただし陸地からの目線と、泳いでいる時の目線では角度が大きく違うことに気をつける。)

スタート3分前の声がかかり、53人の選手が波打ち際へ移動する。スタート前ののんびりムード、プールにはないこの開放感がたまらない。アットホームで楽しいのがオーシャンスイムのいいところだ。

懸命に脱出中の囚人??6時30分、スタート1分前になった。海は左から右に少し流れているみたい。スタートバトルが大嫌いなので、一番後ろの左側に並んだ。じわじわとみんな前に出て行く。足もとは岩がごつごつしているので、私は動かずスタートを待った。みんないっせいに動き出した。(ポイント5.集団が一斉に同じ方向に泳ぎだすため、バトルといわれる状態になるが、落ち着いて自分のペースで泳ぐこと。スタート直後にダッシュをすると危険だし、すぐに疲れてしまう。)あー、スタートだ。下は砂と岩、泳ぐには浅すぎるけどとても歩きにくい。面倒なので泳いでしまった。直前までのんびりしていたので、アップはもちろん、ストレッチもろくにしていないのだ。はじめはアップ代わりにゆっくり泳いだ。珊瑚や岩がたくさんあって、腕をこすりそうなところもあったので注意して泳いだ。徐々に体が動いてきたので、ヘッドアップで先頭の方を確かめた。50メートル以上はあるだろうか、先頭の集団が見えた。すでに結構離されているなあ。追いつくのは厳しいかもと思いつつ、目標が出来た。あれに追いつこう。人と人との隙間を見つけて徐々にスピードを上げていった。一つ目のブイまでの目標物はタポチョ山の山頂である。(ポイント6.ゴールを目標にするのではなく、ゴールの先にある大きな建物や山などを目標にするとよい。)2回位見たけれど、思ったほど流れが強くないし、波もほとんどなくとても泳ぎやすい。人がばらけてきた。自分の後ろに人がついていないことを確かめ、少しホッとする。先頭集団との距離は大分縮まった。ということは、集団はスローペースかな?少しスピードを上げてしばらく一人で泳いでいると、集団の後ろの方につくことができた。そのままペースを落とさず集団の中に割り込み、少しずつ前のほうに移動すると、横には目標の久保さんがいた。

そのとき、水中下のほうで何かが動いている。エイだ!深いところにエイがのんびり泳いでいる。しばらく見ていたかったがそんな余裕はなかった。私の前には社長こと山本さんとあみちゃんが並んでいる。あみちゃんの後ろには私のダンナのプリンスがドラフティングしていた。ずいぶんちゃっかりしている。(ポイント7.他人の後ろについて泳ぐいわゆるドラフティングはうまく活用すると流れに乗って泳ぐことが出来る。ただし集団で泳ぐ時は、他人にぶつかったりすることもあるので注意が必要である。)先頭集団にしては、ちょっとペースが遅いなかあと思いつつ、一人で前に出れば、後半バテてしまうのが分かっているので、しばらく社長と久保さんについて泳いだ。このままのペースだと後ろの集団に追いつかれてしまうのではないかということと、見慣れない水着の女の子が一人いることが気になった。半分くらい来ただろうか、社長のペースが上がった。ついていこうとしたが、あっさり離されてしまった。集団のペースも少し上がり、いつの間にか苦しくなっていた。ヘッドアップなどまったくせずに前に泳ぐ人の足をひたすら追った。海中を眺めるどころではない。私は楽しんで泳ごうと決めても毎回いつの間にか必死になって泳いでしまう。

可愛い亀も参加?長いなー。苦しいなー。まだかなー。ずっと前の人の足とキックの泡しか見ていなかったので、呼吸したときに、ふとブイが近くに見えてビックリした。(ポイント8.前の泳者がコースアウトしてしまう時があるので、自分でも必ずヘッドアップしながらコースを確認したほうがよい。)あれ、いくつめのブイかな?ヘッドアップするとビーチがみえる!!もうすぐゴールだった。ここでスパートするしかない。しかし周りもみんなスピードが上がったみたいだ。もう少し上げよう。息はかなり上がっていたが、ゴールが見えれば不思議と頑張れる。女の子が2人いて、私の横に並んだ。くぅー!こういうのは苦手だ。せっかくここまで頑張ったのだから最後まで頑張ろうと気を取り直してヘッドアップ、浜まで数十メートルか。最後のスパートをした。3キロのレースで最後にこんなバトルがあるなんて!あと20メートル。もう脚が動かない。ひと掻きでほんの少ししか進まない。体に力が入らない。あーダメだー、ついに力が尽きてきた。腕をブンブン振り回し、なんとか浜に近づいていく。さっきの2人は見えない。やっと砂に手が触りそうな深さになったので、よろけないようにそっと立ち上がり、ゴールまでヘニャヘニャと走った。もしかして女子で一番かも!?なんてずうずうしくも期待したが2番だった。最後、私はそうとう蛇行したらみたい。しかし、最近はプールの大会ばかりで久々の海だったし、持久力のない私にとって長い3キロを泳ぎきることが出来てとても満足だった。

優勝は同じチーム、海王のウサギちゃんこと本山君。スタートと同時に一人で前に出たとのこと。私がずっと先頭集団だと思っていたのは、2位集団だったのか。選手全員のゴールをみんなで見届けてからホテルに帰り、プールでひと泳ぎと思ったら、プールは9時からでまだ入れなかった。なんと9時前にレースは終了したのだ。今日は長い一日だ。


午後は早めのランチを食べ、バナナボートで再びマニャガハ島に渡った。島で遊び、今度はパラセーリングでサイパン島に戻った。ボートに引かれてふわりと浮かんだ空中から見えるブルーとグリーンの入り混じった海がもう本当にめちゃくちゃきれいだ。さっきここを泳いだんだなぁとちょっと感動した。すぐに表彰とアワードパーティーの時間なのであわてて会場に行くと、始まる気配はまったくない。さすが南の島だ。一時間後、のんびりと表彰が始まり、パーティーになった。(ポイント9.南の島では、表彰式とパーティがとても楽しい!)大きなスペアリブとチキンにかじりつき、デザートになぜかあずきのカキ氷を食べ、満腹となった私たちはすっかり暗くなった街を歩き、中国式らしいマッサージ店へ行った。70分で30ドルなのだ。激安♪ 朝4時から起きているので、マッサージ台に乗ったとたんに睡魔に襲われてしまった。本当に70分かどうか誰にも分からないが、とにかく気持ちよかった。その後、波打ち際にあるロマンティックなバーで大はしゃぎをし、ロマンティックとは程遠い夜を過ごし、長いハードな一日が終わった。


レース後、ビーチで遊ぶ海王の面々サイパンが大好きだ。南の海が大好き。沖縄の離島も捨てがたいけれど、やっぱりサイパンもいい。一日に何度も色を変える美しい海、のんびりとした時間、そして安くておいしい食べ物。何よりKFCの楽しいレースとパーティーがある。
今回、海王は12名のツアーだった。(ポイント10.「海王」とは海好き島好きが集まったオーシャンスイムチーム。主に関東各地から集まったメンバーの泳力は様々だが、楽しむことを目的として活動している。)サイパンに来たら必ず行きたい店があり、短い3日間の間に食べたいものがありすぎる。レース前日の夜に焼肉食べ放題(これが15ドルで、とてもおいしい♪)で食べ過ぎたり、朝からドーナッツとクラムチャウダーを食べたりしなければならないのだ。それに今回新たにおいしい店が一軒増えてしまった。ちょっとヘビーかも。一緒に行くみんなも大変だな…
成田行きの電車が遅れ、3人があと1分遅かったら飛行機に乗れなかったという、とんでもないはじまりだったけれど、その後はとても楽しく充実した3日間だった。楽しい仲間ときれいな海、また行きたいね!みんないつもありがとう。
KFCスタッフの皆様、ありがとうございました。 



ついでにプロフィールです。。
たきたようこ 中学から泳ぎはじめ、中・高・大と水泳部に所属。インターハイ、インカレ、静岡代表で国体に出場。 現在、週1回遠藤牧夫コーチの指導を受ける。マスターズチーム「FISS」、オーシャンスイムチーム「海王」所属。





■KFC徒然
Yes, we could Escape this year!!
やった!上陸成功!お疲れ様でした過去2年間の悪天候とは打って変わって、2005年5月21日のサイパンの海はまるで鏡のように穏やかでした。その所為か、参加者全員が栄えある史上初の「Great Escapee」になりました。

過去にマニャガハ島からサイパン本島まで泳ぎ切った人はいません。何故なら、このコースは、小さいながらも海峡になっており、大型船舶の航路になっています。普段はタンカーや貨物船や小型プレジャーボート等々が頻繁に行き交い、許可を受け、サイパン海上警察に護られた本大会以外では泳いで横断することは禁止されているからです。一つ間違えば人間ミンチになってしまいます。だから、タイトルにもあるように船舶航路の空いた時間帯に一気に泳ぎ切ってしまわなくてはならないというスリルとスピードが要求される脱出泳なのです。同じ「Island to Island」でも、珊瑚礁で囲まれたラグーン(礁湖)を泳ぐグアム島のインターナショナル・ココス・クロッシングの横断泳とは少し趣が違います。

レースの結果は、本山竜也選手がトップ・エスケーピーで、何と37分09秒であっさり脱出を成功させてしまいました。女子トップは橋本由紀子選手で40分02でした。


いろいろなイベントで“今年もうまくいくかな…”という思いは毎回ありますが、“今年こそ…!?”と天に祈ったイベントは、この“エスケープ・フロム・マニャガハ・アイランド”だけでした。と云うのも、過去2年、現地のスイムミング・クラブ、ダイビング・ショップ、サイパン海上警察等々から意見を聞き、海と天候のコンディションがベストと思われる日にちを決定し、開催してきたにも拘らず、“何かに祟られている…!?”と疑いたくなるほど、天候に泣かされ、マニャガハからの脱出を果たすことができませんでした。

その結果、マニャガハ島の周辺を泳ぐ「お茶を濁す」という選択を余儀なくさせられてきました。現地のスタッフや私たちも“今年こそは、エスケープ…”という思いで、エスケープがより容易にできるよう最短コースであるマイクロビーチに上陸地点を変更して準備を進めてきました。距離は昨年までの4.5kmから2.8kmに短縮になりました。大会当日まで、空を見上げ、海を見ては“2度あることは3度ある…”になるかと弱気になったり、“3度目の正直!?で今年は脱出成功…!!!”と前向きに考えたりしていました。そして、大会当日の朝、少し恐る恐る部屋から外のマニャガハ島周辺の海を見渡してみました。すると、天気も海のコンディションも、とても良く、いよいよ念願が叶い、“今年こそは、エスケープだ…!?”と確信しました。というのも、いくら前日まで安定していても、昨年のように時期外れの台風が突然発生し、大会当日からだんだんと波が高くなるということを経験していますから。


ゴール後の海王の面々、中央が優勝者本山選手天候の所為とは言え、過去2年連続してエスケープできなったということは準備万端で臨んだ私たちKFCだけでなく、現地の協力者たちにも大きな落胆を与えました。さらに、遥々日本から来てくれた参加者の皆さんにも非常に申し訳なく、心苦しい思いを強く感じていました。


レースは予定時刻1分遅れの6時31分にスタートしました。そしてスイマーたちは一斉に対岸のマイクロビーチに向ってマニャガハ島からの脱出を開始しました。流れは少しありましたが、うねりも波もなく、気持ちよく泳げた選手がほとんどのようでした。その結果、参加者全員がエスケープ達成!!!という見事な結果でした。中にはラッキーなことに泳いでいて海亀を見たという選手も数名いました。エスケープできたという達成感と海が奇麗で泳ぎ易かったとゴール後も選手同志話しているのが、あちらこちらで聞かれました。ゴール後もすぐには帰らず、最後の選手が上陸して来るまで応援している…という光景でした。


競技中のスイマーの安全を確保するのはDPSボーティング・セイフティ(サイパン海上警察)が乗るジェットスキー2艇と海難救助用超高速ボートのゾリアック1隻、SSC(サイパン・スイム・クラブ)からはカヤック5艇、PDI(パシフィック・デベロップメント・インク)から中型ボート2隻、TASI(ターシー)からモーターボート2隻とカヤック4艇、さらに、NMDOA(北マリアナ・ダイビング事業者協会)から数名のダイバーが加わり、完全なレスキュー体制で望みました。


空から見た脱出コースレスキュー以外の部分では、スタート直前のブイ設置はNMDOAとTASIが、マニャガハ島までの選手の誘導や選手の手荷物ケアはチームPDI(PDIのスタッフ有志で作られたスポーツイベントをサポートするチーム)が、また、上陸地点のセットアップやタイム計時はマリアナ観光局とチームPDIがそれぞれ受け持ってくれました。そして、水中からの写真は今年もNMDOAの仲代さんが撮ってくれました。皆、3年目と言うこともあり「阿吽の呼吸」でチームワークもバッチリ、選手の安全を確保しながら競技運営を完璧に進めてくれました。非常に頼もしい仲間たちです。また、今年からの新コース設定に関するアドバイスやボートによる実測面ではシーウインド・マリン・スポーツに協力を、アワードパーティに関してはワールド・リゾート・サイパンにスポンサーしてもらいました。大感謝!


鮮やかなブーゲンビリアこの時期のサイパン島はフレーム・ツリー(火炎樹)の最盛期で至る所に燃えるような真っ赤な花が咲き乱れて、如何にも南洋という雰囲気を醸し出しています。また、フルーツに関してはマンゴーの最盛期で島内の至る所で大きなマンゴー樹にたわわに実った美味そうなマンゴー見ることができます。地元のスーパーマーケットではローカル・マンゴーとして10個2j前後で売られています。

レース翌日地元の友人宅でBBQをご馳走になる機会がありました。その時、BBQ肉を食い過ぎて「苦しい!」というとマンゴーは肉の消化を助けるので食べろと黄色い完熟した美味しそうなものを籠に山盛り出してくれた。完熟ものは日本で食べる輸入物と違い、香が強く、甘く、酸味があり、非常に美味かったので一気に10個ほど食べてしまいました。すると、今度はマンゴーで腹が一杯になり「またまた苦しくなった」というと。すると、今度はそのマンゴーを消化させるためにさらにBBQ肉を食えという。・・・・サイパンにデブ(現地語でも太った人のことを「デブ」と言う)が多い訳が分かったような気がしました。




大会の記事が現地新聞の一面を飾る■驚くべきチャモロ人の視力
スタート地点のマニャガハ島からゴール地点のマイクロ・ビーチまでは3km弱あるのですが、それをチャモロの人々はいとも簡単に、バッチリ見渡せるようです。こんな驚くべき出来事がありました。
1つのストップウォッチはスタート地点のマニャガハ島にて、もう一つはバックアップ用として上陸地点のマイクロ・ビーチでスタート予定時刻6:30にスイッチ・オンさせるようにしていました。ところが、スタート時間を1分遅らせているのに、マニャガハ側でスイッチ・オンしたものと、ゴール地点のマイクロ・ビーチでスイッチ・オンしたものとを照らし合わせてみると、まったく同じ時刻を刻んでいました。その訳を尋ねてみると、スタートする姿がチャモロ人スタッフにはよく見えており、ごく普通に、目の前でスタートしているかのようにその瞬間にスイッチを入れたということです。凄すぎる超視力!この超視力の能力を現地チャモロ人の間では「チャモロ・アイ」と呼んで、自分達の視力が他の人種より優れていることは認識している。


バナーを背に記念写真■ちょっと慌てたDPSボーティング・セーフティ
レース後にDPSのオフィスを訪れた時のことです。レスキューに当たってくれたサイパン海上警察のポリスたちは、スタートの直前に予定外の貨物船がコース上に近づいて来たのに驚き、慌てて止めようとしたが、すでに惰性がついており、自分達の力では止められそうにもなかったので、先に行かせたとレース後に打ち明けてくれました。
海上警察のポリス達も3年越しにエスケープができたことを非常に喜んでくれました。また、このイベントに自分達がレスキュー・チームの一員として参加できたことが嬉しかったようでした。来年はもっと参加者が増えることを楽しみにしていると話していました。そして、出来ることならローカルのチャモロ人も参加して欲しいので、今から自分達の手でチャモロ人の泳げそうな人を探して、来年には参加できるように鍛え上げておく、と話していました。



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水中写真提供:NMDOA


Special Thanks:
MVA(マリアナ政府観光局), DPS/Boating Safty(サイパン海上警察), Tean PDI, NMDOA(北マリアナダイビング事業協会), PDI, TASI, Saipan Swim Club,
Seawind Marin Sports, OSB8